2020年12月18日金曜日

はけ文講座2020「都市の自然を考える 第一回・ 花マップの調査から分かる玉川上水」報告

 毎年開催して今年で4年目のはけ文講座、今年はコロナ禍で開催できるか不安でしたが、小平市在住で動植物の生態系について長年研究されている高槻成紀先生との出会いから、とても素晴らしい講座を開催することができました。リアルの参加者は少なめに、オンラインと両方で受講していただきました。講師の高槻先生、ありがとうございました。

講座のレポートを2回に分けて掲載します。レポートしてくれるのは、はけ文会員の鈴木綾さんです。

-----------------

2020年11月22日(日)14〜16時

会場 小金井市公民館貫井北分館学習室AB

講師 高槻成紀先生(麻布大学いのちの博物館名誉学芸員・玉川上水花マップネットワーク表)

司会・安田桂子、オンライン配信担当・佐野哲也

主催・はけの自然と文化をまもる会

協力・小金井玉川上水の自然を守る会(こだまの会)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「都市の自然を考える 第一回・ 花マップの調査から分かる玉川上水」報告

第1回目の講座は、玉川上水の歴史を紐解くところから始まりました。

1653年、江戸の人口急増に応じて生活用水を確保する為、幕府により玉川上水は作られました。西は羽村から東は四谷大木戸まで長さ43km。 

当時、小金井の玉川上水沿いで花見を楽しむ人々の様子を、歌川広重が「武州小金井堤満花之図」の中に描いています。これを見ると、桜の木の周りは下刈りされ、上木の無い所に生えるススキ群落が背後に広がっているのが分かると高槻先生は指摘されます。
 


 
時代は降って1965年、東京オリンピックが開催され、東京が大きく変わった年。開発優先の高度成長期の中、玉川上水の小平以東は停止され、水の絶えた「空堀」に。また杉並区の浅間橋より下流は暗渠化され、玉川上水の長さは30kmになりました。 
空堀には生活ゴミや粗大ゴミが投げ入れられ、ひどい様子だったそうです。 
 
しかし公害など環境問題が深刻化した1970年代、自然保護意識が高まった市民の動きを受け、東京都は玉川上水の「清流復活」を決断。水流は甦り、現在に至ります。 
玉川上水全体が暗渠化されてもおかしくない時代の中、都が市民の声に耳を傾け、玉川上水とその雑木林を残した事は注目に値すると高槻先生はおっしゃっていました。


 
 このように360年以上に亘る玉川上水の歴史をなぞる事で、その在り方は「常に人により変化させられる」都市緑地の宿命を負っているのだと言う事が分かります。 
 
次に、どのような植物が玉川上水の生態系を形作っているのかをお話して頂きました。 
 
東京オリンピック以降、急激に無くなった雑木林の野草が、玉川上水をレヒュージア(避難所)として逃げ込み何とか生き延びていると高槻先生はおっしゃいます。 
 
上木の無い所にはススキ群落がある一方で、直射日光の当たらない林の下に生きる野草(ニリンソウ、チゴユリ、カタクリ、キクザキイチゲ)がある。この異質性が玉川上水の多様性を生み出しているとのこと。 
つまり、上木の在り方が地表植物に大きな影響を与えており、全てを桜偏重の管理にしたら武蔵野の野草は死に絶えます。 
桜だけを守る姿勢は、生物多様性保全とは相容れない事をしっかり自覚した上で、玉川上水全体のビジョンを描く事が大切だと高槻先生はおっしゃっていました。
 
美しい玉川上水の緑地帯。


今年2020年の春に、小金井の玉川上水を訪れた高槻先生は大変心を痛められたそうです。 
桜並木を優先する為に樹齢70年ものケヤキが何本も切られてしまっていたのです。 
御自身と同じ月日を生きた木々が、電柱や廃屋を壊すのと同列の感覚で切られてしまっているのは、とてもショックだったとの事。 
 
またつい先日、小平市でも玉川上水の多くの木々が伐採される計画がありました。法面の崩壊防止と住民の安全を守るためというのが伐採の目的とのことでしたが、明らかに剪定だけで済む木や伐採の必要の無い木にまでテープの印が付けられていたそうです。 
高槻先生は立ち会いをしながら、「これはクヌギだから残しましょう」等理由を付けて、1本でも多くの木を救おうと努力しながら、まるで自分が1人でも多くのユダヤ人を救おうと尽力した杉原千畝になったように感じられたそうです。 
 
東京に残された緑地をどう残していくか、玉川上水の緑地をこのままの形で子供達に引き継ぐ責任が私達にはあると、高槻先生はおっしゃいます。玉川上水には希少な動植物はいませんが、当たり前と思い気を配らないうちに居なくなってしまったメダカやスズメを例に挙げ、希少だから守ると言う姿勢では環境は守れないともおっしゃっていました。 
 
最後は、アメリカの生物多様性の研究者Edword O.Wilsonの「人間の便利さ豊かさのためなら何をしてもよいという考えはいい加減やめよう」と言う言葉で講座は終わりました。

高槻先生が描かれた草花の絵葉書。

 
今回私の中で印象的だったのは、上空から見下ろした東京都の中の玉川上水です。灰色の建築群の中に細く繋がる緑の線。 
それは各時代の人々の思いを受けて変化し続け、その将来は今現在を生きる私達の手の中に確かにあるのだと、ずっしりとした責任を感じました。  
そして玉川上水は繋がっているのだと言う当たり前過ぎる事実。私達は日本を都道府県に分け、更に市町村に分けて区別しています。しかし実際は、自然(世界)は途切れる事無くゆるやかに繋がっています。玉川上水の一部の問題は玉川上水全体の問題であり、東京都の問題であり、日本の問題であり、もっとズームアウトすれば世界の問題でもあると言えるのです。 
全ては繋がっているのだと言う俯瞰した視点の元、玉川上水全体のビジョンを描き共有する重要性を心に留めておきたいと思いました。          (はけ文会員・鈴木綾)

終了後、先生を囲んで。

オンライン配信など、初めての試みでしたが、皆さんのご協力で無事に終えることができました。はけ文、こだまの会の皆さん、オンライン担当だった佐野さん、ありがとうございました!

* * * * *

今回の講演会のタイトルにある『花マップ』、高槻先生が玉川上水の自然観察会をするうちに、関野吉晴先生とのご縁から武蔵野美術大学の学生さんや地域で活動する方々との繋がりができ、人手があるからこそできる調査をしようと高槻先生の提案で始まったという調査です。玉川上水にかかる橋で区切って担当を決め、その人が四季折々丹念にそこに自生する植物を調べて記録を取り写真でも残し高槻先生に報告。確かな記録をまとめることを徹底しました。それをまとめたのが『玉川上水花マップ』です。
貴重な植物は細かい場所は明かさずに載せるなどの工夫をしてありますが、できる限り正確に野草の分布が掲載されています。2019年にはこんなものが自生していたというとても貴重な記録です。しかし調査記録というだけでなく、気楽に持ち歩いて楽しめるようにというデザインになっており、高槻先生のイラストも入り、玉川上水散策のお供としても楽しめます。購入も可能ですのでお読みになりたい方はぜひお申し込みください。





2020年11月11日水曜日

はけ文講座2020「都市の自然を考える」のお知らせ

 今年のはけ文講座は、小平で活動されている高槻成紀先生のお話を聴きます。

これまでのしっかりとした研究をもとに、小平の玉川上水を中心に自然観察会を催されたり、研究活動を続けておられる高槻先生。都市の自然の中の動植物のつながりに目を向け、都市の中のタヌキなどの哺乳類や昆虫、植物についてわかりやすくお話ししてくださいます。

新型コロナウィルス感染予防のため、会場の定員が少なくなっております。各回定員20名です。参加ご希望の方は、下記までMailにてお申し込みください。

【第一回】

「花マップの調査からわかる玉川上水」

講師 高槻成紀先生(麻布大学いのちの博物館名誉学芸員

           ・玉川上水花マップネットワーク代表) 

日時 11月22日(日)14~16時

会場 小金井市公民館貫井北分館学習室AB


【第二回】

「タヌキや身近な動植物と私たちの暮らし」

講師 高槻成紀先生(麻布大学いのちの博物館名誉学芸員

           ・玉川上水花マップネットワーク代表)

日時 12月12日(土)14時〜16時

会場 小金井市環境楽習館


申込/問合せ hakebun☆gmail.com(☆を@に変えてください)

問合せ 090-1776-0874(横須賀)



2020年11月1日日曜日

市議会の意見書を無視!都が環境調査を開始

 


【市議会の意見書を無視!都が環境調査を開始】

東京都が都市計画道路小金井3・4・11号線の環境概況調査を開始するとの情報が入りました。小金井市議会は9月に、調査の中止と長期的視点で2路線の見直しを求める意見書を出しています。
※全文はこちらhttp://hake-bun.blogspot.com/

8月には、はけ文と都市計画道路を考える小金井市民の会も、入札に抗議し要望書を提出しています。

この調査は、道路整備の前段階の調査です。調査によって整備の方針が変わるものではありません。地元議会の意見を完全に無視し、どこが都民ファーストなのでしょうか?このままでは、国分寺崖線や野川の環境を守ることは出来ません。

下記は東京都からのお知らせ文です
調査に関する疑問・質問は直接問い合わせましょう
____________

令和 2 年10月
武蔵野公園・野川公園における環境概況調査の実施について

このたび、武蔵野公園及び野川公園において、下記のとおり環境概況調査を行 いますのでお知らせします。
この調査は、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」に おいて優先整備路線に位置づけられた都市計画道路小金井3・4・11号線及び 府中3・4・16号線について、計画道路周辺における動植物の生息・生育状況を把握することを目的に実施する基礎的調査です。
ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

裏面「調査箇所図」参照

1.調査内容

【植物調査】 植物相調査(早春・春・夏・秋季)、植物群落調査(夏季) 
【動物調査】 哺乳類調査(春・秋季)、鳥類調査(春・夏・冬季)、
両生類・爬虫類(春・夏季)、昆虫類(春・夏季)、 魚類(夏季)、底生動物(春季)

2.調査時期

・秋季調査 (令和2年11月)
・冬季調査 (令和2年12月~令和3年1月頃) ・早春季調査(令和3年3月頃)
・春季調査 (令和3年3月~5月頃) ・夏季調査 (令和3年7月~8月頃)
注)天候等の状況により調査時期が変更となる場合があります。 

3.調査範囲
注)調査は武蔵野公園・野川公園(閉鎖管理地含む)及び野川(調節池含む)の範囲にて実施します。 

4.調査機関
発注者 東京都北多摩南部建設事務所 担当:工事第一課環境対策担当 橋本、吉田
電話:042-330-1836 
受託者 ユーロフィン日本環境株式会社 担当:環境コンサルティング事業部 ⻲井
電話:045-780-3338

以上
______

〈備考〉
・調査員は発注者発行の身分証明書を携帯し、腕章を着用して調査を行います。
・小型哺乳類(ネズミ類)や昆虫類を採捕するためのトラップを設置する際は、周知のための看板を設置します。




ムジナ坂清掃を行いました。

6月以来のムジナ坂清掃。もっと頻繁にやりたいと思いながらあっという間に月日が流れてしまい、もう11月?!とびっくりしてしまいます。

今回は初めてのぼりを立ててみました。「やってるアピールすごい!」って思われてしまいそうですが、「はけを守りたい」というアピールであると同時に、「怪しいものではありません」という意味もあるわけで・・・今日はこれまでで最高の10名参加!!のぼり効果なのか、やっているのをみて、近所の男性が途中から参加してくれました。とても嬉しかったです。

雨が降ると階段に土が堆積してしまうので、シャベルを手に覚悟して始めましたが、今年は台風直撃も今の所ないので、雨も少ないのか土は少しあるものの乾いていて作業は楽でした。でも落ち葉の下にはミミズがいっぱい。全部緑地へ避難させました。






おまけ。誰かが落としていった軍手から草が生えていました。面白いオブジェになってました。




 

2020年9月26日土曜日

小金井市議会で東京都への「見直しを求める意見書」採択されました。



 小金井市議会で、「小金井都市計画道路 3 · 4 · 1 1 号線外の環境概況調査の中止と長期的視点で 2 路線の見直しを求める意見書」が採択されました!

東京都は、3・4・11号線に関する環境概況調査に、2,959,000円もの予算を使って外部業者に発注することが、9/17に落札情報によって判明しました。

市議会から東京都には以前にも、環境調査を中止する意見書が出され、はけ文含む市民団体連名でも入札に抗議する文書を手渡しています。

小金井市および東京都は、市民の代表である市議会の意見書を重く受け止め、見直しに向けて行動すべきです。








2020年8月26日水曜日

東京都が3・4・11号線の環境調査に着手!!中止を求める要望書を提出しました!

 東京都が3・4・11号線の環境調査を進めようとしていることが判明しました。コロナ禍を受けて不要不急の事業は原則、延期か中止することという依命通達の中で「街路整備」が明記されていることを都建設局に問い合わせると、「都市計画道路は都民の生命・財産に関わる重要な事業である」との回答でした。未着手の道路新設についてそのような認識とは、驚きを禁じえません。

今年2月に開催されたオープンハウスでは、わずか2日半の説明会で一千万円以上の税金が使われたことが判明しました。今回の環境調査には一体いくら税金を使うのでしょうか。これは妥当な支出でしょうか?

小金井市議会からも環境調査に着手しないよう意見書が出されていますが、今回も無視された形です。道路を整備することが前提で、調査結果によってそれがくつがえされることはありません。都は「丁寧に進める」というだけで根本的に見直すことなく、着々と計画を前に進めているのが現状です。

8月25日(火)都市計画道路小金井3411号線に関する環境調査の入札に対して、東京都建設局に中止を求める要望書を提出しました。

はけの自然と文化をまもる会、都市計画道路を考える小金井市民の会、3411号線関係住民の会の3団体が連名しました。
下記が要望書の全文です。

_____________________________________________________________


都市計画道路 小金井3・4・11号線に関する環境調査入札の中止を求める要望書


 東京都が8月17日に告示した、都市計画道路小金井3・4・11号線周辺の環境調査の入札に抗議し、環境調査の中止を求めます。

2015年に優先整備路線(案)に選定されてから、東京都はパブコメでの圧倒的反対意見や市議会からの見直しの意見に真摯に向き合うことなく、「丁寧に進める」として整備に向けて突き進んでいます。

新型コロナの影響を受け、不要不急の事業は原則延期または中止るという副知事連名の依命通達にも従わず、未着手の道路新設を「都民の生命、財産に関わる重要な事業」とする都建設局の姿勢は、市民の感覚と大きくかけ離れています。景気の悪化で雇用不安が増すなか、市民の命と暮らしをまもる事業にこそ税金を使うべきなのは、誰の目にも明らかなことです。地域の賛同が得られない事業を強引に推し進めようとする東京都は、完全に思考停止に陥っていると言わざるを得ません。

今年2月に開催されたわずか2日半のオープンハウス型説明会には、1041万5081円もの貴重な税金が使われました。整備を前提にしたこの環境調査に関して、小金井市議会からも6月23日に「優先整備路線に位置付けられた小金井市の都市計画道路2路線に関して、今年度の関連事務の停止と、長期的視点で事業化の見直しを求める意見書」が採択され、都に意見書が提出されました。

今回の入札告示は、地元議会の意見を無視した暴挙と言っても過言ではありません。民意を反映しない事業の中止を強く求めます。

2020年8月25日

はけの自然と文化をまもる会
都市計画道路を考える小金井市民の会
3・4・11号線関係住民の会


______________________________________________



ご対応いただいたのは、東京都建設局北多摩南部建設事務所の細見明彦所長、工事第一課の森田健夫課長です。森田課長によると、依命通達を受けた事業の整理は、今後行われる見込みとのことです。来年11月に環境調査を終え、その後説明会を開催する予定と思われます。今後も東京都の動向に注目していきます。


〈小金井3・4・11号線に関する環境調査入札情報〉

    書(抜粋)

委託件名:環境概況調査委託(2北南―小金井3・4・11外1路線)
委託場所:東京都府中市多磨町二丁目地内から小金井市東町五丁目地内まで
契約期間:契約確定の日の翌日から令和3年11月1日まで

第2章   委託目的
本委託は、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」において優先整備路線に位置づけられた
都市計画道路小金井3・4・11号線及び府中3・4・16号線について、計画道路周辺における動植物の
生息・生育状況を把握することを目的として実施する基礎的調査である。
第3章   委託内容
  1. 植物調査
  2. 動物調査
     
     哺乳類調査  鳥類調査  両生類・爬虫類調査  魚類調査 昆虫類調査 底生動物調査
4.考察及びモニタリング計画案作成
 (詳細は添付のファイルを参照してください)

森田健夫工事第一課長(右)

北南建の細見明彦所長(右)


2020年8月7日金曜日

はけ文宣言

201512月に活動を始めたわたしたち「はけ文」は、7月29日3回目の定期総会を開催しました。2020年に入り新型コロナウイルス感染症が広がって、世界中で大きな影響を及ぼし、大きな社会変化が起きたことは、私たちの暮らしやこれからの地域社会のことを考え直す機会となりました。総会を機に、コロナをふまえた私たちの態度を「はけ文宣言」としてまとめました。