2024年12月1日日曜日

東京都による「3・4・11号線」のオープンハウスが開催されました。

 宮地楽器ホールにて開催された都市計画道路3・4・11号線の道路構造を発表するオープンハウス3日間が終了しました。

オープンハウスはこれまでの経緯や計画、そして今回発表になった「橋梁」という道路構造についてパネル展示されていて、多くの東京都の職員が配置され、パネルを見ていると職員の方がスッと近寄ってきて説明してくれます。多くの市民、都民が訪れてパネルを見ながら職員に疑問質問を投げかけていました。
模型展示もされていましたが、これは前回のオープンハウスの時にも展示された同じものだそうです。新たに作られたのはCG映像で、見たこともないような「はけの道」や武蔵野公園が美しく作られた映像でした。模型もCG映像も匂いも空気感もなく、はけと野川の魅力は伝わってこないと思いました。



この都市計画道路は事業決定されたものではありません。事業化に向けて現在計画を進めている段階です。小金井市民の反対の声が大きいので「丁寧に進める」ためにオープンハウスをやっています。反対の声がなければもうとっくに測量説明会をやっているのではないかと思います。
今回は橋梁に決まったことを発表するためであって、道路の予算計画や詳細についてはまだ決まっていませんの一点張りなのも困ったもので、環境についても配慮する、でもまだ詳細は決まっていないというので、どう配慮するのかわからないのに、納得することもできないし、またモヤモヤが残る展示と説明でした。



オープンハウスでは意見交換の時間が設けられ、3日間で4回それぞれ定員20名、それぞれ1時間、都の職員と話す時間がありました。はけ文メンバーもそれぞれ参加し、意見を伝えました。1回目に参加し、2回目以降は参加する人が多くいる場合は遠慮しようと思いましたが、定時を過ぎても席が埋まらない場合は次も参加し、いっぱいの場合は外から傍聴し、私は全4回すべて聞きました。


交通量の問題、立ち退きを迫られる住民からの意見、さまざま多くの疑問や意見が出ましたが、東京都はこれをすべて「承知しております」「よく理解しております」と言ってから「何ページをご覧ください」と資料を提示されて「ですから道路は作ります」という結論しか出てこない相変わらず虚しい意見交換でした。しかし
参加している市民の方々の意見がそれぞれに素晴らし過ぎて、毎回とても楽しい意見交換会でした。



覚えている範囲でいくつかご紹介します。

2日目、午前の部、植物学者だという先生が「今の都市計画というのは環境に配慮するのが世界の主流。21世紀になって道路を作るよりも自然環境や保存すべきものは避けて道路などを作るように都市計画はシフトしている。それなのに武蔵野公園に道路を通すなんてあり得ないことです」との発言がありました。本当にその通りだとしみじみ聞きましたが、東京都からは特にそこについての返答はなし。

午後の部では東町在住の編集者の男性が「隣接するICUの森は環境省が推奨する自然共生サイトの認証を受けています。そのすぐ横にこんな道路を作るなんて暴挙だ」との発言には表情ひとつ変えず、「道路予定地のはけ部分は現在民家が建っていて、道路になるときにはそこは緑を植えますので、はけの連続性が保たれます」と答える。それって大怪我して血がダラダラ流れている人に小さな絆創膏渡して「これで大丈夫だよ」って言ってる感じじゃない???と思いました。
また若い男性が「コンセンサスは取れているのか?」という言葉で質問を始めました。「小金井市では都議選、市長選と道路見直しを公約に掲げて当選している。これは民意ではないか。次の都議選で民意を問うとか住民投票をやるとかいうつもりはないのか」と質問されました。「今回のオープンハウスも3案を提示してその中から橋梁案が最適とおっしゃってますが、作らないというゼロオプションも提示していただかないと公平ではない」との発言に参加者一同共感し、そこからみんな「ゼロオプションがあるべきだ」と口々に言っていました。


3日目最終日は1回のみ。
保全生態学がご専門の先生。「このはけの自然が素晴らしい理由はかなり広い面積で緑が確保できているからで、この連続性が非常に重要。東京都全体の宝物だと思う。60年前の計画ですが、その当時の日本人は経済が豊かになることが幸せになることだと考えていました。しかしそうではないことに今皆気がつきました。豊かな自然を喰い物にしてきた日本の政治はかなり怪しいと。これ以上この豊かな自然を破壊することは小金井市だけでなく東京都にとっても間違ったことだと思います。3つの中で橋が一番いいということですが、小平の玉川上水に栄光橋という2mほどの幅の橋がかけられました。(遊歩道部分もまたぐ橋です)たった2mの幅でもその橋の下の植物は雨が当たらず乾燥したことで、大きな影響を受けました。18mの道路ができたら大きな悪影響が出るでしょう。だから3つの案の中でどれがいいかと言われたら橋になるかもしれませんが、道路を作らなければいいことなんです。
それから国としても生物多様性国家戦略2010というのを作っています。そして2022年にCOP15では昆明・モントリオール生物多様性枠組というのを作って、そしてそれに基づいて東京都は生物多様性地域戦略というのを公表したんです。だから60年前と今ではまったく違う考え方なんです。ネイチャーポジティブということです。東京都の生物多様性地域戦略を知っていながら、こんな計画をそのまま進めるなんてどういうことですか?理解できません」
と発言され、会場は拍手に沸きましたが、東京都からは「生物多様性地域戦略と今回の道路は抵触しません。」という回答しかありませんでした。

また工学部出身だという男性が、「緑こそが公共の福祉、固有のものを失って代替えのものを作ると言われても納得できない。東京都の方々の言われていることは地に足がついていない。自然を破壊してしまっては取り返しがつかない。意見の違いではなく我々の問いにまったく答えられていないんです」この素晴らしい発言にも同じような回答しかありませんでした。

参加する市民のほとんどが道路建設反対の方でしたが、毎回1人か2人、賛成の市民の方がいたのも印象的でした。これまで「賛成の声も聞いている」と東京都が言われてもそんな人ほとんど見たことがなかったのですが、さすがに出てきて意見を言わないと負けてしまう!と思われたのか、実際に出てこられて意見を言われていました。「防災上必要」「抜け道に使われて困っているから作ってほしい」「経済の発展のために未来の子どもたちのために整備を」などが道路賛成の方のご意見でした。私が参加している時に「南北道は東京都の発展のためにとても重要」という賛成のご意見を言われた方がいらしたので、「それ以上に武蔵野公園の自然は東京都にとって重要で大切なんです」と発言しました。

東京都の方からの発言にもなかなか印象深いものがありました。
道路を作ることは「環境を上回る効果がある」とか、橋梁を作ることで「橋の上から見る新しい景色」という言葉もありました。なんて素敵な道路ポエムなんでしょうか。

みなさんはこのオープンハウス、どんな感想を持たれたでしょうか。はけ文では「今度は私たちサイドからのオープンハウスやりたいね」などと話しています。

オープンハウスで展示されたパネルなどはこちらからご覧いただけるそうです。