2019年5月16日木曜日

はけ文 × 西岡市長 面談レポート

計画の見直しを求める声は「様々な意見」なの? 


小金井市都道計画問題をめぐり、はけ文会員と西岡真一郎・東京都小金井市長との面談が、5月8日(水)午前に市第一本庁舎で行なわれた。

「荒れ模様」だった都主催の意見交換会とは打って変わり、お互いの言葉に耳を傾けあう冷静な雰囲気のもとで約1時間、意見が交わされた。しかし明らかになったのは、「都市計画マスタープラン」を盾に、都道計画の見直しに背を向ける西岡市長の姿勢だった。

西岡市長と小金井市都市整備部の田部井課長と片上係長。手前がはけ文メンバー。


■「意見交換会の打ち切りは極めて残念」だけど

おもに話題となったのは、意見交換会の打ち切りとオープンハウス(出入り自由な会場での住民説明会)へ移行することを宣言した都に対する市の姿勢だ。

「意見交換会の打ち切りは市として極めて残念なので、オープンハウスと並行して意見交換会を続けるよう都に求めた。これに対して都建設局長から回答があり、オープンハウスと並行して意見交換会も行なうとのことだ。現在は、それをどのように行なうのかについて都からの連絡を待っているところだ」(西岡市長)

市長は話し合いの継続には一定の理解を示した。しかし・・・。

はけ文会員は「昨年の都の交通量調査も、道路が本当に必要かどうかを判断するために実施しました、というのなら話は分かる。しかし都はあくまで『道路整備ありき』が前提で、意見交換会でも見直しを求める住民とはまったく話がかみ合わない。そこで都と市長という、計画に対して権限がある立場どうしで話し合い、『道路整備ありき』という前提を見直してほしい」と訴えた。

これに対して市長は、「都には『住民の中に多様な意見がある』と伝えている。市としては『都市計画マスタープラン』で今回の都道計画の必要性を認めており、市長である私は『行政の継続性』の観点から、同プランを尊重する立場だ。しかし、都が今回の都道計画を事業化すると決めたとはいえ、進めるにはあくまで地域の理解が必要。そのため市としては、今後も住民理解を求めていく姿勢だ」と応じた。

つまり、市長は「都道計画を見直す必要性は感じていない」と言っているのだ。しかも、事業化決定前の2016年春のパブコメやその後の意見交換会で噴出した、計画見直しや反対の声を「多様な意見」のひとことで片づけている。

■そもそも都道計画は必要なの? 都市マスと異なる民意

市は12年3月に都市計画マスタープランを改定し、その中で今回の都道計画について「進めるよう都に要望する」との方針を示している。同プランは市民も参加してまとめており当然尊重すべきだ、というのが西岡市長の姿勢だ。

ところが知ってのとおり、パブコメでは見直し・反対意見が圧倒し、また意見交換会でも同様の結果となった。すなわち今回の都道計画をめぐっては、同プランと実際の民意とのあいだに大きな食い違いがあるのだ。ここで「都道計画を進めるのが望ましい」とする同プランの結論は本当に正しかったのか、との疑問がうかぶ。そもそも「都市計画マスタープランなんて知らない」という人も多いのではないか。

ちなみに都市計画マスタープランは3年後の22年3月に新たな改定をひかえている。一度決めた結論は絶対に変えられない、というものではないのだ。しかも、都道計画をめぐり見直し・反対意見が噴出する現状をふまえれば、過去の同プランでの「市民参加」は不十分だったといわざるをえない。

面談が終わってから、はけ文会員のもとに「西岡市長が『この都道計画は必要だと思っている』と話していた」との情報が寄せられた。今、西岡市長がするべきは、都市計画マスタープランを言い訳に思考停止することや、見直しや反対の意見を「多様な意見」で片づけることではないはずだ。市政の場でリーダーシップを発揮できる人間として、「そもそもこの都道計画は本当に必要なのか」という謙虚な視点で行動することこそが求められている。

斉藤円華(はけ文会員、市内在住)