2016年12月2日金曜日

はけの新時代シンポジウム( 報告)

レポート:安田桂子(はけ文共同代表)

11/25 東京経済大学でシンポジウム「崖線(はけ)の新時代 国分寺崖線の継承とこれからの地域連携」が開催され ました。このシンポジウムは、NPO法人グリーンネックレスを母体とした「はけの学校」がプロデュースしています。「はけ」を後世に伝えるため、書籍や写真などの資料を集めた「はけのライブラリー」を国分寺崖線に設置していく計画をすすめています。今回のシンポジウムは「はけとは何か」を改めて問い直し、はけを通して地域連携を促す目的で企画されました。

シンポジウム会場の「大倉喜八郎進一層館 フォワードホール」は、元図書館を改装したもので、はけにせり出した貴重な建物です。透明感のある内部は、ガラスを通してはけの緑を身近に感じられる作りになっています。

私は当日の配布資料リーフレットのデザインと、はけの概略図の作成を担当しました。当日は「はけって何?」 というテーマで10分ほどお話させていただきました。

「はけって何?」ムジナ坂にある旧富永邸と
大岡昇平さんの関係についてご紹介。
 各分野からの豪華な顔ぶれの登壇者の中でトップバッター。とても緊張しましたが、前座のようなものと開き直って臨みました。24日朝日新聞朝刊に崖線歩きの記事とともにシンポジウムの告知が掲載されたためか、約250席の会場は満席。うれしい驚きでした。
はけとは何か説明して、と言われても、私は地形にも歴史にも詳しくありません。「自分の実感を話してください」との依頼だったので、日常生活の中のはけをみなさんにご紹介することにしました。自宅のまわりをご案内するよう な気持ちで、撮影したはけの写真をスライドでお見せしました。話しながら「ほんとにいいところに住んでいるな~」 と、思わず気持ちが入ってしまいました。聞いてくださったみなさんに少しでも実感が伝わっていれば良いなと思い ます。最後に「都市計画道路ではけがどうなるのか心配です」と締めくくりました。
武蔵野公園はらっぱから望むはけの風景
リーフレットの裏面に掲載した国分寺崖線の概略図

続いてのチャプター2は、この日が初対面という貴重な対談。深大寺第八十八世住職・張堂完俊さんと、前国分寺市長で武蔵国分寺がご実家という星野信夫さん。主にはけの保全についてのお話でした。住職ははけの土地を少しずつ買い取って保全されているそうです。星野さんは市長時代に直面した開発についての問題点などお話されました。おふたりからははけを大切にする思いが伝わってきて、終止うなずきながら聞いていました。


休憩をはさみ、チャプター3はディスカッションです。東経大准教授の尾崎寛直先生をコーディネーターに、多彩な顔ぶれのみなさんがそれぞれの視点で「はけ」を語りました。
国分寺地下水の会の藤木千草さん、小金井市環境市民会議代表の瀧本広子さんは、市民として環境調査などを長期に渡って継続している活動を紹介。東京都環境局の藤田樹生さんは、里山保全や PR 活動について、また、小金井市下水道課の徳永直秀さんは世界に誇れる雨水浸透ますの設置率のヒミツについてなど、行政の立場からのお話もありました。考古学者でICU講師の林徹さんは、地層についてや、生活の場としての人間と崖線の関わりについて、長期的視点で語ってくださいました。NPO法人グリーンネックレス代表理事の土肥英生さんからは、建築の観点から地域に根ざし環境に配慮したまちづくりについてなど、興味深いお話を聞くことが出来ました。


そして、このようなシンポジウムで開発側からの参加はとても珍しいと思うのですが、今回は野村不動産の東伸明さんがデベロッパーとしての立場でお話をしてくださいました。はけのマンション開発を、地域住民と信頼関係を築き ながら実現させたことを紹介。「本質的に価値があるものなら、ビジネスとしても価値を生み出せるはず。地域の価値を目に見えるようにするのは市民のみなさんの役割」というお話が印象的でした。
会場のみなさんから受けた質問に答えるコーナーもあり、尾崎先生は質問のレベルの高さに驚きつつ、登壇者へ投げかけ、それぞれの分野からの回答を聞くことが出来たのは、多彩なパネラーが揃うシンポジウムならではでした。
総合司会進行は会社員ながら国分寺地域で精力的な活動をされている高浜洋平さん。大変な役回りですが最後までうまく場をまとめてくださいました。
大学、市民、行政、企業という様々な立場の人々が集い、「はけ」を考える貴重な機会となった今回のシンポジウム。このような場に関わらせていただき、とてもよい経験となりました。参加者同士のつながりから、今後「はけ」を介した地域連携が進むことを大いに期待しています。

翌日の11月26日の朝日新聞むさしの版に掲載されました。





2016年11月24日木曜日

講座「はけの野鳥が教えてくれたこと」(報告)

市民がつくる自主講座
まもりたい!はけと野川の自然
第二回「はけの野鳥が教えてくれること」

レポート山田智佳子(小金井市緑町)

豊かな自然が残されたはけ周辺には、多種多様な生き物とそれを餌にする多くの野鳥が生息しています。くちばしの形状から餌になるものや巣材など周辺の環境を知ることができる等、野鳥からのメッセージをもとに、はけの環境問題を語ります。

講師:鈴木浩克さん(野鳥観察家)
10歳より野鳥観察をはじめ、16歳で野鳥の鳴きまねコンテストで日本一になる。野鳥の魅力と自然の大切さを多くの人に知ってほしいと小学生対象の観察会の講師も務める。都市計画道路にも詳しい。

1113日(日)
家族で「はけの野鳥が教えてくれること」に参加しました。保育士さんが子どもたちを預かってくれるという、主婦には非常にありがたい特典つきでした。以前、武蔵野公園のバーベキュー広場で大きなキツツキ系の鳥を見かけて以来(アオゲラ?)、野鳥のことを知ったらもっと野外活動が楽しくなるだろうという期待があり、参加しました。

鳴きまね実演中の鈴木さん。
講師の鈴木浩克さんは、野鳥の鳴きまねコンテストの元チャンピオン。日本一の鳴きまねを楽しみにしていたのですが、講演になんと15分も遅刻してしまい、ほとんど聞き逃してしまいました…。痛恨の極みでしたが、かろうじて鈴虫の鳴きまねだけは拝聴しました。ほんとうに本物そっくりで、発声を自在に操る技術と工夫には驚きました。

鈴木さんは5年ほど前から野鳥の声の収録に力を入れているそうで、ICレコーダーを森に一週間ぐらい放置して、野生のオオコノハズクの声の収録に成功したそうです。オオコノハズクの声は小さく控えめで、図鑑にはバラバラな鳴き声が記載されていたそうなのですが、鈴木さんが井の頭動物園の飼育オオコノハズクを観察し、声を確認できたことで、初めての学術的証明になったそうです。すごい快挙をとても謙虚に語ってくださいました。


オオコノハズクの幼鳥(撮影・鈴木浩克)

講演の本編では、野川とはけ周辺に生息する野鳥の驚きの生態や芸術的な巣作りを鈴木さんの写真を交えて紹介していただきました。印象的だったのは、くちばしの形がその鳥の捕食の特徴を物語っているということ。ピンセット型のくちばしを持つヤマガラ、ツグミ、ヒヨドリなどは、細かい作業が得意で主に木の実や虫をついばむのに対し、イカルのようにペンチ型の分厚く短いくちばしを持つ鳥は固い木の実を好んで食べるそうです。最強のくちばしを持つのは、雑食で頭がよく、タッパーさえこじ開けてしまうハシブトガラス。細かい作業もできるし、力がある。実際、鈴木さんのお写真を拝見すると、磨き上げられたステンレスの道具のようで、カラスを見る目がちょっと変わりました。


トカゲの尻尾をくわえたモズ(撮影・鈴木浩克)

食べ物との関係を考えると、鳥の観察がより楽しくなるそうです。例えば、小金井市周辺では冬場に割り合い多く見かけられるツグミも、秋は木の実を主食とするため木々の梢で暮らしますが、冬になると地面に降りてきて、春にはミミズを食べるそうです。そのツグミのミミズ捕り、最近の研究で明らかになったのは、音によって地中のミミズを察知して捕食しているということ。ごくありふれた鳥でもすごい能力を持っている、と鈴木さんはおっしゃいます。ちなみに、ツグミのミミズ取りは3月頃くじら山のふもとや遊水池周辺のあちこちで盛んに見られるそうです。

マヒワ(撮影・鈴木浩克)
人間には「雑草」とひとくくりに疎まれ、抜かれてしまう野草も、実は鳥の生存に欠かせないのだそう。ホオジロなどの太くて短いくちばしを持つ野鳥は主に「雑草」に分類される草の種子を食べています。人間にはなんのメリットもないからといってやみくもに「雑草」を伐採してしまうと、こういう野鳥から餌を奪うことになってしまいます。さらに、枯れ木や朽ちかけた老木も、コガラやアオバズクなどの野鳥にとっては大切な棲み処となるそうです。都市公園などではことさら枯れ木、枯れ枝を危険視して切り落としてしまいますが、鈴木さんは可能な限り残してほしいとおっしゃいました。人と自然との関係を改めて考え直させられる考察でした。

野鳥観察のエチケットについても話してくださいました。ひとつは、巣に近づきすぎないこと。繁殖を阻害しないためには、50メートル以上は離れて観察することだそうです。もうひとつは、不用意に鳴きまねをして呼ばないということでしたが、これは鈴木さんのようなプロの鳴きまね職人ゆえの注意点かもしれません。

ツミ(撮影・鈴木浩克)
鈴木さんが野鳥観察を始めた時期は高度成長期と重なり、コンクリートジャングルと化した街中から棲み処を失った鳥たちが姿を消していったそうです。が、近年、カワセミ、ツミ、オオタカ、ハクセキレイ、エナガ、コゲラ、モズ、ハシボソガラスなど、以前は見られることのなかった野鳥が街中にどんどん進出してきているそうです。その理由は東京の自然が豊かになったからではなく、むしろ鳥たちのほうが都市適応してきたからだと鈴木さんは説明してくださり、驚きました。鳥たちの生態自体が変わってきているのです。それは、鳥たちの中に「勇気あるハミ出し行動」を取る個体がいて、結果的に生息域を広げているからだそうです。従来川べりの赤土を掘って巣作りをしていたカワセミが、河川の護岸工事によって繁殖する場所を奪われどんどん少なくなっていったそうですが、ある日コンクリートの排水口を利用して巣作りに成功し、護岸工事された都内の川でも繁殖できるようになって増えてきたそうです。いかに「勇気あるハミ出し行動」が種の保存に重要であるかが、よくわかりました。「自然」とはいかに流動的で、常に進化しているかを改めて知りました。

ハシボソガラス(撮影・鈴木浩克)
かつては観察できなかった野鳥が再び街中に棲み処を求めている今の状況を踏まえ、私たちはどうやったら野鳥のお手伝いをできるのでしょうか。そのヒントに、「野川自然の会」が運営しているどじょう池脇の「とんぼたんぼ」があります。市民の手で里山環境が再生されたからこそ、他の公園では見られないタシギという珍しい鳥が飛来したそうです。

野川の周辺には連続した緑地帯が残っており、鳥たちの餌となる虫や草や木が豊かな生態系を支えています。最近は食物連鎖の頂点にいるツミやオオタカなどの猛禽類も生息しており、その生態系の豊さを象徴しています。この貴重な環境を守り、育んでいくことが、鳥たちのためだけではなく最終的に人間のためにもなると、鈴木さんは明言されています。

自然を壊さないと街は発展できないのでしょうか?そうではなく、経済的な発展も、自然の保護も、二者択一ではなく共生できる目標だと鈴木さんはおっしゃいました。

次世代になにを残すのか。道路を残すのか、それともオオタカが飛翔する緑深き野川か。道路をつくるために木を切ってしまうのは一瞬ですが、その木がまた生えてくるには何十年とかかるのです。


今後、鳥たちのさらなる「勇気あるハミ出し行動」によって野川とはけ周辺が魅力的な野鳥観察のフィールドであり続けるために、私たち人間も「勇気あるハミ出し行動」へ舵を切り、経済至上主義から逸脱することが求められていると感じました。

2016年11月12日土曜日

シンポジウム「はけの新時代」開催のお知らせ

はけと地域連携をテーマにしたシンポジウムに、
はけ文共同代表の安田が登壇します。
当日配布する「はけの概略図」作成とリーフレットのデザインを担当しました。

会場の東京経済大学 大倉喜八郎 進一層館は、
はけの森に包まれるように建つ、素晴らしい建築物です。

パネラーは各分野から多彩な顔ぶれが揃いました。
「はけ」を大きな視点から見ることができる、またとない機会です。

ぜひご参加ください。事前申し込みは不要です。
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シンポジウム「はけの新時代」
国分寺崖線の記憶を編み、はけの地域連携を績む

「はけ」とは何か。東京郊外に形成された河岸段丘は、都市に湧水と緑をもたらし、美しい景観を作ってきた。この地形の果たしてきた役割を、歴史や文化、都市計画など多方面から検証し、なぜいま「はけ」なのかを問う!

●開催日:11月25日(金)15:00~17:30
●場所:東京経済大学 大倉喜八郎 進一層館 Forward Hall
●主催:東京経済大学地域連携センター
●後援:国分寺市・小金井市・三鷹市
(認定NPO)日本都市計画家協会
●協賛:(一般)財団法人セブン-イレブン記念財団 ●企画・はけの学校 
〈プログラム〉
- はけの歴史 東西お寺の今昔対談-

深大寺八十八世住職・張堂完俊 × 前国分寺市長・星野信夫

- ディスカッション -

コーディネーター:尾崎寛直(東京経済大学准教授、同地域連携センター運営委員長) 
パネリスト:林 徹(国際基督教大学考古学講師)/藤田樹生(東京都環境局自然環境部緑環境課)/ 藤木千草(国分寺地下水の会会員)/藤崎正男(小金井市環境市民会議副代表)/ 徳永直秀(小金井市下水道課業務設備係)/東 伸明(野村不動産株式会社)/ 土肥英生(NPO法人グリーンネックレス代表理事)

- はけって何? -

安田桂子(「はけの自然と文化をまもる会」共同代表)

総合司会進行:高浜洋平(「めぐるみLabo&Cafe」主宰) 
(敬称略:順不同) 

《はけの学校からのお知らせ》
はけの学校は、はけの写真やはけに関する書籍、新聞記事などの資料を集めた「はけのライブラリー」を 国分寺崖線周辺に設置します。ご提供いただける方はお気軽にご連絡ください。写真など貴重なものは、 複製をとらせていただきます。

連絡先:「武蔵野から」編集室
住所:東京都小金井市本町 5-7-16 TEL: 042-385-7025 E-MAIL:

2016年11月9日水曜日

【ご報告】武蔵野はらっぱ祭りに出店しました。

11/5,6 第28回武蔵野はらっぱ祭り出店のご報告

レポート:安田桂子(はけ文共同代表)

立ち寄ってくれた方とブース前にて。

都市計画道路「小金井3・4・1号線」「小金井3・4・11号線外」2路線ともに計画線にかかっている都立武蔵野公園で、毎年市民が手弁当で開催するお祭り「武蔵野はらっぱ祭り」。会場のくじら山下はらっぱは、はけにかかる3・4・1号線予定地がよく見える立地です。この場所で道路問題をアピールしない手はない!というわけで、2日間にわたって展示出店させていただきました。

はけ文ブースでは、都市計画道路の詳細な住宅地図や、道路の完成イメージ図、昔の野川やはけの道の写真を展示し、この日のために新たに作成した地図入りのカラーチラシを来場者に配りました。
隣りでは「道路問題を考える小金井市民の会」のみなさんが、計画の見直しを求める要請書に添える都知事宛の署名を集めました。

カラーチラシの受け取りもよく、用意した1,000部が2日間でほとんどはけるほどでした。署名合計は724筆だったそうです。また、はけ文活動費カンパは12,421円のご支援が集まりました。
2つの会が連携した結果、多くの方に足を止めていただき、多少でも周知が進んだのではと思います。
配布したカラーチラシ。裏は計画道路地図。

立ち止まって道路地図に見入る方、完成予想イメージ図に驚かれる方、「道路問題どうなってるの?」と質問する方、様々な反響がありました。まだ計画を知らない方が多いという印象を持ちました。計画を知っている方でも、実際どこに道路が通るのか知らなかったり、まったく違う場所だと思い込んでいる方もいました。

小金井市議会で見直しを求める陳情が採択されたので、もう大丈夫と思っている方も複数いらっしゃいました。「この計画はもうなくなったんでしょう?」という認識をお持ちの方へは、進まないことはあっても計画そのものが無くなることは残念ながら無い、ということを説明しました。

今回多くのみなさんとお話ができたことは収穫でした。その中でも特に、子どもたちの反応に希望を感じました。
暖かくお天気だったので人出も多く賑わいました。

はらっぱ祭りに来ていた小学生たちが、パネル展示に反応して「ムジナ坂なくなっちゃうの?嫌だ」「環境破壊はダメ」と口々に言い、自ら署名をしてくれる子も何人かいました。おこづかいからカンパを出してくれた子まで…。「(立ち退きで)友だちの家が無くなっちゃう」と心配する子、後片付け中に「まだ署名できますか」と言ってきてくれた女の子。みんなはらっぱで駆け回って遊んで育っている子どもたちです。この素晴らしい環境を彼らに手渡すために大人ががんばらないと、と改めて思いました。

また、足を止めてくれる外国人がとても多く、署名も積極的にしてくれました。特に欧米人は環境問題に対する感度が高いと感じました。

2日ともに晴天に恵まれ、有意義な活動が出来ました。
ご協力いただいたみなさん、はらっぱ祭り実行委員会のみなさん、
市民の会のみなさん、本当にありがとうございました!!


【お詫びと訂正】
はらっぱ祭りで配布した地図に、一部不正確な部分がありました。

連雀通り「セブンイレブン」マンション「エクセレントA棟」「エクセレントB棟」
「ムジナ坂」のポイント赤丸と文字表記が、2.5ミリ程度下にズレていました。
画像は修正したものです。


お詫びして訂正いたします。申し訳ありませんでした。

詳細な地図は小金井市都市計画課の窓口で閲覧できるほか、
東京都都市整備局のホームページでご確認ください。




2016年11月8日火曜日

市民が作る自主講座の第二回を開催します。

11月13日(日)「はけの野鳥が教えてくれたこと」と題して、野鳥観察家の鈴木浩克さんの講演会を開催します。小学生から野鳥観察を始めて、野鳥を通して自然に親しみ、自然の大切さを強く感じてきた鈴木さん。はけ周辺の野鳥にもとても詳しいです。
道路問題研究も長年されておられます。お仕事は自主流通グループで有機野菜の配達をされていて、毎日車でこの周辺を走っているのでドライバーとしても道路のことを日々観察している鈴木さんです。
鳥の鳴き真似も抜群にうまい!是非聴きに来てください。

11月13日(日)午後2〜4時
小金井市貫井北町公民館学習室AB
保育あり(要事前申込)
聴講のみの方は申込不要です。

2016年11月2日水曜日

はらっぱまつりに出店します!

11月5、6日の土日、都市計画道路3.4.1と3.4.11にちょうど挟まれているあたり都立武蔵野公園くじら山付近で、今年も「武蔵野はらっぱ祭り」が開催されます。この道路計画を広く知っていただくために、はけ文はブースを出させていただくことになりました。
武蔵小金井駅方面から来るとリサイクルバザーが終わって一番最初のテントです。「市民の会」の署名もあります。お待ちしています!


講座「まもりたい!はけと野川の自然」(報告)

第一回「はけと野川はどう守られてきたか」

レポート:山田智佳子(小金井市緑町)

厚い雲が垂れ込める土曜日の午後、ママチャリをとばして小金井市立貫井北センターへ向かった。14時スタートの講座に集まった50名は高年齢層が圧倒的に多いなか、保育サービスを利用した子育て世代も何名かおり、小金井の自然を愛するという共通点で結ばれた場内は開演前から静かな期待でみなぎっていた。講演の内容はその期待を上回る素晴らしいものだった。アラフォー主婦の視点から、講演内容をまとめてみた。

今回の講師は江頭輝さん。自然保護活動をしている市民団体、野川ほたる村の事務局長さんだ。小金井市民歴20年の大先輩である。その20年間を通して継続的に野川ほたる村の活動にご尽力されてきたからこそ、地に足のついた、非常に実践的なお話であった。


講師の江頭輝氏

















江頭氏の講演は小金井市における市民の自然保護活動を時代の流れに沿ってまとめられており、本格的に市民活動が始まったのは昭和40年代からだったという。高度成長期の当時、開発の波とリン酸塩合成洗剤に汚されて、野川は悪臭を放つドブ川だったそうだ。その臭い野川にフタをして暗渠化(下水道化)してしまいたいという趣旨の陳情書が困り果てた住民から上がってきた。それを受けて、「三多摩問題調査研究会」発起人の矢間考次郎さんがアンケート調査を行った結果、フタをして暗渠化(下水道化)してしまいたい人が2割、きれいな川に戻したい人が7割いることが明らかになった。そこから、市民が自然再生を求めて活動する大きなうねりが生まれた。 


大岡昇平が「武蔵野夫人」の構想を練りながら散策した
と思われる、昭和40年代の野川。二枚橋から現在のくじら
山方面を望む(江頭さんのスライドから)


















矢間さんの「水辺を市民の手に」という呼びかけのもと、野川にフタをする動きにフタがされ、かつてのドブ川は長い年月を経て現在の清流へと浄化されていった。この野川の自然再生の歴史は、主に市民が行政に働きかけるかたちで実現した。

たとえば昭和50年代にスタートした「わんぱく夏まつり」。まつりのきっかけは、大人が用意するこども向けの余興に飽きたこどもたちの率直なつぶやきだったという。「野川で魚釣りがしたい」。そのつぶやきを聞き逃さなかった敏感な大人たちがいた。「子どもの問題は大人側の問題だ」と考え、子どもたちが野川とはらっぱを舞台に体を使って遊べるように、釣り大会、灯ろう流し、冒険橋、とりで、滑車などを造り、第1回わんぱく夏まつりを開催した。

しかし、開催地のくじら山とはらっぱは、実は東京都が定めた野川第三調節池の予定地だった。その開発に歯止めをかけたのは、わんぱく夏まつりに集い、はらっぱを愛する市民だった。当初の反対運動から30年を経て、やっと今年の秋に東京都の管理下から離れて武蔵野公園へ編入されたばかりだと聞いて驚いた。連続した緑地の確保に成功した貴重な例で、今後も市民が守っていく必要があるとのお話だった。

平成元年には野川第二調節池の護岸工事の際、対岸までコンクリートで固められてしまったことに気付いた市民が猛反発した。周辺に住む主婦の方々を中心とした有志が都庁に押しかけて強力な申し入れを行ったほか、少数だが粘り強い反対運動を展開し、結果的に建設局は完成直前に一度固めたコンクリートをはがして自然護岸に戻した。一度予算が付き、落札されて業者が着工してしまった事業を覆すほどの市民運動は異例だという。「小金井市民は進んだ感覚を持っている」と江頭さん。野川の事例は全国的に研究対象になるほど注目を集めた。

江頭さんが事務局長を務める野川ほたる村の活動からも、市民が発案し自然再生事業を成功させた事例が多く紹介された。そのひとつが平成14年度に実現したJR武蔵野線地下水の導水事業。野川ほたる村が発案・調査・要請し、小金井市と国分寺市が実行に移し、民間企業(JRと日立研究所)も関わったという大きなプロジェクトで、JR武蔵野線のトンネル内からあふれ出した地下水(その量一日1000トン!)を国分寺の姿見池を経由して野川に流すというものだった。野川が渇水に悩まされた時代に、そのままなら下水として処理されてしまうであろう水源を確保して野川に引いてくる着想はすごいと思う。二市を跨いでの事業展開は、民間人ならではの枠にとらわれない視点が活きた結果だったのかもしれない。一さんがることにがすというのは容易発のに



現在もこんこんと水をたたえるどじょう池
(江頭さんのスライドから)


















もうひとつは子どもたちにおなじみのどじょう池だ。野川第一調節池内にハケの湧水を溜めて池を整備し、平成134月に完成した。途中、なかなか行政が動かないことに業を煮やした市民が重機で乗り入れるという「事件」も発生したという。現在はみんなでつくる野川ビオトープの会に属する市民の手で維持管理されている。同じエリアには田んぼも整備されており、野川・田んぼ・ハケの森の三つの要素が豊かな生態系を織りなしている。

ここで江頭さんが協調されたのは、「自然と言う時に、単なる自然ではなくてその内側に生態系ができているということが重要」という点だった。例えば、野川のコンクリートをはがして自然護岸に戻す際も、一番上に元からあった土を盛ることにより、その場所に生えていた植物の種子が元通りに生えてくるようになるという。そういう細やかな点にも配慮しつつ、自然が再生するプロセスを手助けするには時間と知識と継続的な努力が不可欠であることがよくわかった。

講演の終盤は国分寺崖線の緑地保全の現状と市民の取り組み、そして緑地保全のための法令についての詳しい(そして難しい)説明だった。一番心に残ったのは、環境緑地は不安定という事実だ。江頭さんいわく、いずれ抜け落ちていく危険性を伴う民有地だ。都市計画道路についてもいえることだが、継続して守っていく努力は市民の手に委ねられている。「守るのは容易ではない。私たちの課題です」とおっしゃる。自然を壊すのは簡単だが、再生するのには時間がかかる。行政を動かすのにも時間を要するし、そうした取り組みを行っていく上では常に情報を収集し、豊かな知識を以って時には武蔵野線から水を引いてきたように妙案をひねり出す必要がある。

本当に、市民団体やボランティアとして活動を続けていくのは大変なことだ。市民それぞれの多忙な生活とうまく折り合いをつけて時間を捻出し、下草狩りや野川の水質調査などの地道な作業をはじめとし、市政と都政に働きかけて陳情書を提出したり、市民同志の話し合いの場を設けたり、自主的に、継続的に活動していく必要がある。継続していくのは体力的に大変だし、自分に厳しくないと無理だ。

それでも江頭さんは「丸投げ民主主義」からの脱却を訴える。小金井市の貴重な水と緑を次の世代に引き継いでいくのは、私たちひとりひとりの責任である。

講演の翌週、ハケの森緑地1に足を運んだ。東京都市町村樹林地公有化資金の活用第一号として注目され、市民の手で残された貴重な緑。

















あらためてその価値を感じる、のどかなハケの午後であった。























(小金井市緑町 山田智佳子)

2016年10月7日金曜日

はけと野川について学ぶ連続講座

小金井市公民館
市民がつくる自主講座

まもりたい!はけと野川の自然(2回講座)

「自然がゆたか」といわれる
私たちのまち、小金井。
その緑や水が、
年々減っていることを
知っていますか?
はけと野川を取り巻く
現状を知って、
一緒に考えてみませんか。

☆第1弾☆
10月22日(土)午後2時〜4時
場所:公民館貫井北分館学習室AB

“はけと野川はどう守られてきたか”

ドブ川だった野川を蘇らせた経緯、はけの森を守るトラスト運動など、自然保護に市民がどう関わってきたのかを、時代背景と共に分かりやすく解説。今後の展望や残したい自然についてなど、後半30分はお茶をのみながら意見交換をします。

講師:江頭輝さん(野川ほたる村事務局長)

〈江頭さんプロフィール〉
「野川ほたる村」で長年に渡りはけや野川の自然保護活動に取り組む。佐渡でトキを再生するNPOを創設するなど、生態系を軸とする自然再生がテーマ。人と自然が共生できる地域づくりを目指し、子どもが自然に親しむ仕掛け作りにも尽力中。小金井市在住。

※参加無料
※保育あり。必ず事前に電話でお申し込みください。
☎090-8057-4422 安田まで
















































主催:小金井市公民館 ☎042-383-1184
企画:はけの自然と文化をまもる会
hakebun@gmail.com