2019年5月23日木曜日

武蔵野公園の桑の木が剪定されてしまいました。

昨日5月22日、とても悲しいことが起こりました。
武蔵野公園の入り口、小金井新橋のたもとにある大きな大きな桑の木が突然剪定され丸坊主になってしまいました。この場所のシンボルのような木です。それが見るも無残な姿になってしまいました。
ちょうどたくさんの実をつけていて、ようやく色づいてきたところで近隣の人たちは「もうすぐ収穫だな」と楽しみに待っていました。小学校の通学路にもなっているので、学校の行き帰りにちょっと食べたりするのも子ども達の楽しみでした。そして周囲に日差しを避ける場所もないので、とても良い木陰を作っていました。歩いたり走ったりする人もここで日差しを避けて一休み、子どもたちが遊ぶのを待ちながら立ち話するお母さんたちの姿もよく見られる木陰でした。

先月、お父さんと犬の散歩に来て桑の実のなり具合を楽しみに眺めている小学生。


朝、突然伐採が始まったと思ったらお昼にはもう終わっていました。抗議する間もない一瞬の出来事でした。武蔵野公園なのか河川の管理なのか、作業員に確認したら河川の管理をしている東京都北多摩南部建設事務所からの依頼とのこと。北多摩南建に電話で確認したところ、「防犯上暗くて危険だから剪定して欲しい」という依頼が市民からあったとのこと。たった1件の依頼です。それで「数ヶ月前に現場を確認して剪定をしようと決めた、この時期に実がなるとは思っていなかった。確認不足で申し訳なかった」との回答でした。確認した頃はまだ寒かったでしょうから、日差しの強さなんて気にもならなかったことでしょう。度々剪定するのは大変だから強剪定になってしまったとのことでした。切った時期とか切りすぎたとか色々問題はありますが、まずこの姿がみっともないし、桑の木にも直射日光が当たってこの夏はとてもつらいことでしょう。そんなことも考えてくれないのが不思議でなりません。

昨日の昼頃。2時間ほどであっという間にこの状態。

あちこち取材するうちに、実際に剪定を依頼した市民の方から話を聞くことができました。日頃から武蔵野公園の管理に心を配っている市民の方でした。その方が申し入れたのは、クワの木を含む第2調節池の法面(のりめん)の低木です。

*枝が伸び切って子どもの姿が見えなくなっていること
*笹だらけで、繁った枝に蜂の巣ができること
*桑の枝が垂れ下がっていること

などの危険が考えられるため、依頼されたそうです。子どもたちの安全を守りたいという強いお気持ちからでした。
しかし、ここまでの強剪定でなくてよかったと思いますし、剪定だけが安全を守る道ではないと思いますので、東京都はもっと市民との話し合いを事前にしてほしかったと思います。

これまではけ文は武蔵野公園を管理している東京都の西部緑地事務所、管理を委託されている西武武蔵野パートナーズとは何度か面談を重ねて「大きな木の伐採、剪定の時には必ず市民団体と相談してほしい」と要望し、実際に伐採に前に現地を視察して意見を言わせてもらうという活動もしています。今後このようなことが起こらないように北多摩南部建設事務所にも要望をして行こうと思います。

数日前に斜面に落ちた桑の実を拾う小学生たち。
遠くからも大きな姿がよく見えるシンボルツリーだった。
この木陰が重要だった。

収穫間近の実。一体何粒あったんだろう。

防犯上というなら下の方だけ剪定しても良かったのでは?
青々とした美しい緑はもうありません。


今年はもう桑の実を摘むことはできません。ここまで剪定してしまうと来年もどうなるかわかりません。鳥たちもたくさんの食料を失いました。都民、市民の財産だと思っていた桑の木、こんな一瞬で失うことになるとは本当に驚きと怒りと悲しみで呆然とした1日でした。

(写真・Yoshi、Yasu、Yoko)