2018年12月24日月曜日

【平成 30 年度 市民がつくる自主講座「地形を知って考える 私たちのまちづくり」】報告

「崖博士に聞く!国分寺崖線の成り立ち」

 講師:芳賀ひらくさん(東京経済大学客員教授/古地図研究家)
11 月 25 日(日)午前 10 時〜 12 時 @小金井市公民館貫井北分館






今年度のはけ文自主講座のテーマは「地形」!
第 1 回は「崖博士に聞く!国分寺崖線の成り立ち」と銘打ち、古地図研究で知られる芳賀ひら くさんに講師をつとめていただきました。当日は、会場の定員 50 名のところ、なんと 70 名 もの方が足を運んでくださり、席が足りなくなり増席するという大盛況ぶりでした。

「ブラタモリ」に代表されるような地形への関心の高まりに加え、地震や豪雨など、自然災害
 が頻発していることもあり、テーマへの関心の高さ、崖博士・芳賀さんの人気ぶりを実感しました。
以下、講座の要旨です。



崖にまつわる考察

〈崖の定義〉
ほとんどの自治体は「30 度を超える傾斜のもの」としている。これは宅地造成等規制法施行令 による定義を準用したもの。高さについては 2m を超えるもの(または 2m 以上)としている自 治体が多いものの、一部の自治体では 3m 以上など、異なる定義がされている。
地形上の分類では、江戸・東京の崖には侵食崖と人工崖がある。国分寺崖線は、侵食崖。


〈崖線という言葉〉
「崖線」という言葉は、新しい言葉である。2009年11月、岩波新明解国語辞典 第七版に初めて 立項された。→(かなり大きな)川が台地を浸食してできた崖が連なって成す線。「国分寺―」
河川が長年にわたって台地を削りとってできた 崖の連なり。「立川―」(集英社国語・3)
2018 年には広辞苑第七版に登場。ただし、説明が間違っている。「線上につらなった崖」とあるが、 線上、ではなく線状、である。
崖が「線状」に連続していれば「崖線」。一般にはそれでもよいかも知れない。しかし地形学的には、 そのような理解では不十分で、誤りですらある。










「国分寺崖線」の命名と定義

Wikipedia の「国分寺崖線」の説明に誤り
がある。「武蔵村山市緑が丘付近に始まり (中略)世田谷区の砧地域、玉川地域南部 を通り、大田区の田園調布を経て同区の嶺 町付近に至る」とあるが、「立川面と武蔵 野面とは国分寺崖線によって分けられてい る」のであれば、地質図で見ると国分寺崖線の東端は、世田谷区成城付近までである。 また、「古多摩川 ( 関東ローム層下に存在 ) の侵食による自然堤防と考えられている」 という記述も論外である。「自然堤防」と は、堆積地形のこと。「崖線」は、侵食地 形である。


(20 万分の 1 地質図「東京」1987 年)



「国分寺崖線」が、若い地質学者によって「発見」され 命名されたのは1952(昭和27)年。福 田理・羽鳥謙三「武蔵野臺地の地形と地質 東京都内の地質 IV」第4節「各論」の第1項「武蔵野 段丘」『自然科学と博物館』第 19 巻に初出する。


「この段丘は北多摩郡砂川村九番から平兵衛新田、府中町飛地、国分寺町、小金井町、東京天 文 台敷地、深大寺、神代村滝坂・入間を経て、世田谷区成城町に至る明瞭な崖線で次に述べる立川段 丘と接している。この崖線を国分寺崖線(Kokubunji cli -line)と呼ぶことにする」
1950 年発表の「武蔵野夫人」には「国分寺崖線」という言葉は出て来ない。「はけは即ち、峡(は け)にほかならず、長作の家よりはむしろ、その道から流れ出る水を遡って斜面深く喰い込んだ、 一つの窪地を指すものらしい」とのみある。


「国分寺崖線」の地形学上の本質は 「段丘崖」である。「段丘」でない急斜 面は「国分寺崖線」ではない。地形学 的に「崖線」という言葉は認証されて いない。段丘、もしくは段丘崖 という。


(地図アプリ「スーパー地形」から)


ガケ=ハケ ではない

「ハケ」とは《崖線そのものをいうのではなくて 崖線に刻み込まれた特殊な形》を言う 田中正大『東京の公園と原地形』2005 参照:『季刊Collegio』No.64, 2017 Spring

(鈴木隆介 2000 年)






急傾斜部 ( ガケ ) の連なりがすべて「国分寺崖線」なのではない。 「崖線」と「開析谷壁」は区別されなければならない。
それは、成因(営力)も異なり、時間(時代)も異なり、形(方向)も異なるからである。


「国分寺崖線」はなぜ、いつできたのか ?

関東平野は侵食地形ではなく堆積地形。武蔵野台地は、 多摩川の扇状地である。その上に富士山の火山灰が降り 積り、関東ローム層が形成された。8 〜 4 万年前に起源 する「国分寺崖線」は 少しずつ削られてできたのでは なく、氷河性海面変動と一般的に言われている、激変(カ タストロフィ)に成因があったのではないか。
氷河性海面変動とは、寒くて海面が下がると侵食作用が 激しくなり、崖ができる。低地が段丘になる。暖かくな ると海面が上がる。10 万年単位で海面が上がったり下 がったりを繰り返してきた。
最近 14 万年間の海面変動のグラフを見ると、6 万 5 千 年前の氷河性海面変動によって、国分寺崖線が形成され たのではないかと私は思っている。しかし、侵食基準面 の変動だけから河岸段丘(河成段丘)の 成因を引き出 すことはできない。海面変動のほかに 気候変化(雨量) や地殻変動 などの要因も考慮しなければならない。地 層を掘って調査しなければ正確なところは分からない。


(貝塚爽平 1983 年)

東京は、自然災害リスクが世界一

ミュンヘンの再保険会社が算出したデータでは、東京・横浜が、自然災害リスクが世界でダントツ 1位。首都圏の地形は、基盤の上に砂と泥が約3000m 日本アルプスより深く積もっている。これ だけ深いとどこに活断層があるかなんで分からない。ここに 3600 万人が生活している。世界的に 例がないほど人口が集中している。
1939 年(昭和 14 年)に、東京緑地計画が策定された。計画区域は東京 50km 圏、962.059ha。 環状緑地帯計画とも言い、日本の都市計画および公園史上初めての大規模かつ具体的なマスタープ ランだったが、郊外の地主などが経済成長が阻害されるとして大反対、計画は頓挫した。
現在の東京は破綻した都市計画の結果、世界一野放図に広がってしまったメガロポリス(巨帯都市) である。「一極集中のメリット」が「デメリット」になり、もはや「デンジャラス」になっている。
そんな中残された国分寺崖線の緑地帯は非常に貴重である。いま、緑地を残すことの重要性は、ま すます高まっている。


(「クロワッサン」特別編集・防災 BOOK 2014 年)



古地図に色を塗ってみよう

この後、参加者に色鉛筆が配られ、昭和 14 年の地図に色を塗る作業をしま した。机が足りず、ほかの部屋から借りて何とか間に合わせました。最初に 開析谷底を流れる川から始め、田んぼ、等高線の順に塗っていきます。最後 に、都市計画道路の線を引きました。実際に自分で色を塗り、線を引くこと で、この道路が地形を無視して引かれた線だということが実感できたのでは ないでしょうか。


1:10000 都市計画図 (1939(昭和 14)年) に着色。 緑色は等高線、黄色は田んぼ、
青色は野川及び水路、赤色の線は都市計画道路







防災ジオラマを展示

調布市の NPO 法人 「防災・災害ボランティアかわせみ」 の代表の方が、防災ジオラマを持参してくださり、急きょ、 隣接する IT ルームで展示しました。帰りにみなさん立ち 寄って興味深そうに見て行きました。




まとめ

参加者は小金井市のほか三鷹、国分寺、小平、調布、府中 など近隣市からの方、川崎市や八王子市、墨田区、杉並区 などからの方もおられ、関心の高さを感じました。アンケートには、「もっと聞きたかった !!」という要望や、「地層も歴史も積み重ねのなかで、自分たちが生活してい ることが分かった」「学校の授業で、もっと太古から学ば せたほうがよいと思った」など、様々な感想が寄せられま した。「また芳賀先生を呼んでほしい」との声もいただい たので、ぜひまた企画出来ればと思います。 ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました !!
        

レポート:安田桂子(はけの自然と文化をまもる会)


2018年12月10日月曜日

武蔵野はらっぱ祭り出店報告

ちょっと時間が経ってしまいましたが、武蔵野はらっぱ祭りの報告です。
11月3、4日の2日間、武蔵野はらっぱ祭りに「はけの自然と文化をまもる会」と「都市計画道路を考える小金井市民の会」と協力して出店し、武蔵野公園を分断する都市計画道路について祭りの来場者に説明、「計画見直しをするべきか否か」のシール投票にも参加していただきました。




チラシ1000枚を全部配りきり、シール投票もたくさんの方にとても積極的に参加していただきました。
子どもたちに手伝ってもらい、駄菓子さんも開店。

管元首相もシール投票してくれました。



そして今回は「はけのポストカード」を販売。道路予定地周辺の素敵な風景の写真を絵葉書にした5枚セットで500円。そのうちの1枚は小池百合子都知事に直接出せる宛名入り!先着50組には62円切手も貼られているという大サービスでした。なんと63組も売れました!「小池さんにぜひお手紙書くわ!」と言って多くの方お声掛けいただきましたので、都知事にたくさんのご意見が届くと思います!




ポストカードはまだ少し残りがありますので、はけ文の講座などに持っていきたいと思います。



当日配布したチラシ。1000部配布しました!
はらっぱを愛する人たちと武蔵野公園の素晴らしさ、はけの大切さを語り合えた2日間となりました。ありがとうございました。




2018年11月20日火曜日

今年も自主講座開催します!

★平成30年度 小金井市公民館 市民がつくる自主講座のご案内★

例年ご好評いただいている、
公民館の自主講座を今年も開催します。

今年度のテーマは「地形」!

地震、水害などの自然災害が頻発しています。
わたしたちが暮らしを営むこの土地は、
どんな来歴のもとに成り立っているのでしょう。
地形や地層を知り、これからの時代に必要な
まちづくりについて、一緒に考えてみませんか?

3回講座ですが単発の参加も大歓迎です。
保育もあります(要申込)。ぜひご参加ください。
*第1回目の保育の受付は11月22日(木)で締め切らせていただきます。
お早めにお申し込みください。
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第1回「崖博士に聞く!国分寺崖線の成り立ち」

11/25(日)
午前10時〜12時

「国分寺崖線=はけ」ではない?! なぜ「国分寺崖線」と命名されたのか?
土地の来歴から考える、来るべき災害への心構えとは?
崖をめぐる深ーい考察に、地域を見る目が変わります。

講師:芳賀ひらくさん(東京経済大学客員教授・古地図研究家)
【プロフィル】
1949年仙台市生まれ。早稲田大学第一法学部中退。元柏書房代表取締役社長。現之潮(コレジオ)代表。地理・地域研究教育の傍ら、古地図や東京地誌の研究を40年以上続けている。「崖博士」の異名を持ち「タモリ倶楽部」にも出演。
著書に「デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖」(講談社)、「地図、場所、記憶」(けやき出版)ほか多数。

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第2回「微地形がはぐくむゆたかな台地と湧水」
12/16(日)
午後2時〜4時

細長い日本列島は大陸にくらべて農地が少なく鉱物資源にも乏しく、貧弱。本当にそうでしょうか?実は日本ならではの「微地形」をもとに、マイルドな環境へと人間が改変してきた豊かな土壌と水利があるのです。
暮らしの中の微地形を再発見し、自然災害を見越したこれからのまちづくりについて、農学博士が熱く語ります。

講師:千賀裕太郎さん(農学博士・東京農工大学名誉教授)
【プロフィル】
1948年生まれ。東京大学農学部卒業後、農林省入省。1996年に東京農工大学教授に就任、現在は名誉教授。棚田学会会長。水資源管理や里山保全に造詣が深い。
著書に「よみがえれ、水辺、里山、田園」(岩波ブックレット)、「水の基本」(誠文堂新光社)、「地域資源の保全と創造〜景観をつくるとはどういうことか」(農山漁村文化協会)ほか多数。

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第3回「はけの保全活動と地域防災」
1/26(土)
午後2時〜4時

高度成長期、急激に都市化したはけ(国分寺崖線)周辺の緑地をまもったのは、地域住民による運動によってでした。
田中さんは30年以上にわたりはけの保全活動に取り組み、80歳を過ぎた現在も精力的に活動をつづけています。
はけへの想いとともに、尽力している地域の防災の取り組みについて、お話していただきます。

講師:田中兄一さん(文筆家・はけの自然を大切にする会 会長)
【プロフィル】
1929(昭和4)年生まれ。業界紙の記者を経て企業史などを手がける文筆家として活躍した。大宅壮一氏に師事。会長をつとめる「なかよん町会」で発行している手書きの機関紙「れんらく」は、通算430号を超える。「はけの森」「キンヒバリの里」を一体緑地として保全するため、ナショナル・トラスト運動を展開中。

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〈平成30年度 小金井市公民館 市民がつくる自主講座〉
主催:小金井市公民館
企画:はけの自然と文化をまもる会
会場:小金井市公民館貫井北分館 学習室AB
住所:小金井市貫井北町1-11−12
アクセス:JR中央線武蔵小金井駅北口下車徒歩約12分
http://www.ntk-koganei.org/access/index.php

参加費:100円(資料代)

保育あり。2歳以上。要申込(有料:300円)
メールにて下記お知らせください。hakebun@gmail.com
①参加希望日②保護者氏名と連絡先③お子さんのお名前と月齢
保育受付締め切り 第2回 12月11日、第3回1月20日
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2018年10月29日月曜日

武蔵野はらっぱ祭りに出店します!

【はけのポストカードつくりました】
道路予定地周辺の美しい風景を集めて、ポストカードをつくりました。
11/3(土)、4(日)に武蔵野公園くじら山はらっぱで行われる、武蔵野はらっぱ祭り出店ブースにて販売します。(出店名:どーなってるの?!都道と公園整備)
ぜひお立ち寄りください。
一葉は62円切手付き。ぜひ東京都へ出してこの地を愛する私たち市民の気持ちを伝えてください。
ほかのポストカードには宛名面に、控えめに都市計画道路の説明を入れました。お友だちへ送り、道路の問題を伝えていただけたらと思います。
撮影場所のマップも別紙で付けています。
5枚セットで500円です。
売り上げの一部は、はけの自然と文化をまもる活動に使わせていただきます。
写真提供:宇野正樹さん、前田眞一さん、安永千秋さん
ありがとうございました!!




2018年9月6日木曜日

武蔵野公園新設トイレ 3回目の住民説明会開催

都は武蔵野公園はらっぱ付近にトイレを設置するとして、これまで2回、住民説明会を開いてきました。1回目(2017年3月)の説明会で示された、くじら山はらっぱ西側・休憩所付トイレの設計案には、近隣住民や公園利用者から、必要性についての疑問や環境や景観への影響、セキュリティの懸念など異論が噴出。都は持ちかえり、再検討を行いました。2017年7月に2回目の住民説明会が開かれ、設置場所を運転免許試験場の北側へと移し、規模を縮小した再検討案が示されました。
今回は3回目の住民説明会となります。設置場所と設計案が具体的に示されると思われます。
これまでの経緯を知らない住民も多いことから、具体的かつていねいな説明が求められます。自然環境や景観、セキュリティなどへ様々な懸念の声がある中で、どのように合意を形成していくのか。難しい問題ですが、充分な説明と議論を尽くすことで、住民の納得感を高めることが大切ではないでしょうか。
以下、都建設局西部公園緑地事務所のホームページからの引用です
__________________________
「都立武蔵野公園におけるトイレの設置に係る説明会」の開催について
日頃より、東京都の公園・緑地行政にご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
東京都西部公園緑地事務所では、都立武蔵野公園の南西角地(府中運転免許試験場北側付近)にトイレの設置を計画しています。平成29年3月および7月に開催しました説明会でのご意見を踏まえ、検討した計画案について下記のとおり説明会を開催させていただきます。

日時 : 平成30年10月7日(日)
午後6時45分~7時45分
場所 : 小金井市立南小学校 体育館
(小金井市前原町2丁目2番1号)
その他
•上履きを持参してください
•車でのご来場はご遠慮ください
•当日は、託児保育サービス(生後6か月~未就学時までのお子様の一時預かり)を予定しています。事前申込制とさせていただきますため、ご希望の方は、10月5日(金)午後5時までに下記問い合わせ先へご連絡をお願いいたします。なお、お申込み人数が上限に達した場合、お断りをすることがございますのでご了承ください。
お問い合わせ
東京都西部公園緑地事務所 工事課 設計担当
 (担当者:根岸、江畑)
電話 0422-47-0114



2018年7月18日水曜日

パブコメを出そう〜東京都は道路行政の在り方そのものを見直して!!

「事業化されている路線も含め、見直しなさい」という国の方針に従わず、どんなに反対があろうとも「必要性を確認した」として、道路整備を押し進めている唯一の行政区が東京都です。
その東京都が、「整備するものは整備し、見直すべきものは見直す」として、「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針中間のまとめ」を発表し、パブリックコメントの募集を開始しました。

小金井市HP
https://www.city.koganei.lg.jp/shisei/seisakukeikaku/info/douroarikatakentou.html

東京都都市整備局HP
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/tokyo/keikakudoro_adviser_matome.html

ただし、優先整備路線は見直しの対象としない、としています。選んだ経緯や理由が納得できるものではないにも関わらず、優先整備路線は決定事項として、粛々と整備を進めるということにほかなりません。

東京都の道路整備の実態が、都民ファーストからかけ離れていることは明白です。50年以上前の計画をそのまま実行する住民無視の道路行政の問題点を直視しないまま、路線別ではないざっくりとした意見募集で、関係住民に直接意見を聞くこともなく、平成30年度末を目途に計画変更等の対応方針を「東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針」として策定するとしています。

パブコメ終了後、都の「都市計画区域マスタープラン」は改定され、各市区町村の「区市町村マスタープラン」は、都が決定した方針に基づいて定められることになります。わたしたちのまちづくりは、行政が策定した「マスタープラン」に基づいて行われます。マスタープランに市民の意見を反映させるために、パブリックコメントはとても重要です。
東京都に公式に物申す数少ない機会です。ひと言だけでも出せば一通と数えられ、関心の高さを示すことが出来ます。


〈意見の例〉
・優先整備路線についても、見直しの対象とするべき
・各路線の必要性についての検証を、オープンな場でおこなってほしい
・関係住民へ計画の告知や説明を、早期の段階で行ってほしい
・道路をつくることが目的化している都行政の在り方そのものを、都民ファーストの視点で根本から改めるべき
・何十年も着手されない都市計画道路を事業化する際は、地方自治体の議会の承認を必要とするべき


●募集期間
平成30年8月10日(金)まで
提出先
• 窓口・郵送 〒163-8001 東京都庁 東京都都市整備局都市基盤部街路計画課
• FAX   03-5388-1354
• メール   S0000179@section.metro.tokyo.jp

●お問い合わせ先
都市基盤部 街路計画課 街路計画調整担当
(直通) 03-5388-3379
特別区・26市2町・各区市町の窓口

はけ文総会2018を開催します。

「はけ文」は、はけの自然と文化を守りたい仲間が、ゆったりと集っている会ですが、市民の皆様からご寄付などをもいただいているので、会計報告やこれまでの活動報告、そしてこれからの活動方針などを話し合うオープンな機会を持ちたいと思います。総会と言いながら気楽な会です。お気軽にいらしてください。


【はけ文総会2018】
日時 2018年7月25日(水)午後7時半〜9時半
会場 前原暫定集会所会議室A(一階です)

内容 *これまでの活動報告
   *会計報告
   *今年度の活動予定、活動方針について

よろしくお願いします。



2018年7月1日日曜日

ムジナ坂の清掃を行いました。

6月30日(土)午前10〜11時、はけ文有志でムジナ坂の清掃を行いました。事前にブログやSNSでも呼びかけたため、ゲスト参加もあり、大人5名、子ども2名で行いました。
階段に土が堆積して汚い感じになっていたので、それをシャベルでこそいで取り、ほうきで清掃。
かなり綺麗になりました。
東京都の土地である林の中のゴミ拾いもしましたが、こちらは大きな粗大ゴミもあったりなかなか全部は取りきれませんでした。
ムジナ坂と隣接して住まわれている富永さんにもご挨拶して、坂の東側にできる柵のことなどもお話しできご意見を聞けたので良かったです。
掃除は不定期ですが継続的に続ける予定です。特に秋は落葉で大変だと富永さんがおっしゃっていたのでできるだけ実施したいと思います。

いつも鬱蒼としてひんやりとした空気が漂うこの坂の雰囲気は大切にしていきたい小金井の名所の一つだと思います。
しかし都市計画道路3・4・1号線の予定地で、道路ができたら消滅してしまうかもしれない、ムジナ坂。この坂の価値を市民の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


階段に土と落ち葉がこびりついているのをシャベルとほうきで清掃。



一時間ほどでかなり綺麗になりました。

秋は落ち葉で大変そう。
暑い中頑張りました。またやりたいです!


2018年6月24日日曜日

ムジナ坂清掃の会のお知らせ

大岡昇平の小説『武蔵野夫人』の舞台ともなった富永邸に接するムジナ坂。
武蔵野の面影を残す緑に守られたひっそりとした階段です。
そのムジナ坂は都市計画道路3・4・1号線の予定地となり、このままいくと消滅してしまうかもしれません。
通学路でもあり、生活道路でもあり、小金井市のはけの緑地を象徴するような場所でもある「ムジナ坂」の
清掃活動をいたします。気楽にやりたいと思いますので、おしゃべりしながら、ムジナ坂を味わいながらお掃除しましょう。

6月30日(土)10:00〜11:00 ムジナ坂に集合!!
持ち物:ほうき、ちりとり、軍手、トング、ゴミ袋など
*各自水分補給、虫除けも忘れずに。

ムジナ坂の東側の緑地に柵をつけるという話も東京都から出ています。
本当に必要なの?どんな柵?そんなこともみんなで考えていけたらと思います。
「柵」に詳しくはこちらをごらんください。



2018年6月12日火曜日

小金井市環境市民会議の団体会員になりました。

201864日(月)1830~@小金井市役所で小金井市環境市民会議の今年度の総会が開かれ、はけ文から安田代表と会員の松山が参加しました。

小金井市環境市民会議は身の回りのさまざまな環境問題に市民、企業、学校、行政が協力して取り組むことを目的に2004年に設立されたもので、はけ文としてこの度正式に団体会員として入会しました。
今回の総会には個人や団体の会員19名と小金井市環境政策課の課長を含む4名が出席。
昨年度の活動や決算の報告、役員の選出、今年度の活動計画や予算の承認などを行なった後に、自己紹介を兼ねて各自がこの環境市民会議を通じてどのような活動に取り組みたいか意見交換を行いました。

各会員からは、それぞれが関わっている地下水測定部会、緑調査部会、まちづくり部会、環境学習部会、生活環境部会が抱える課題をはじめ、エネルギー部会新設の趣旨、武蔵小金井駅南口再開発による環境影響への懸念、玉川上水のサクラ復活プロジェクトへの疑問、小金井市による生物多様性地域戦略策定の必要性、保存樹木と落ち葉の問題、NPO法人こがねい環境ネットワークとの協働、環境市民会議自体のあり方などについて意見が出されました。
はけ文からは安田代表が「国分寺崖線を貫通する道路計画や武蔵野公園の整備計画について、問題意識を多くの人と共有して、仲間を増やしたい」旨を話したところ、他の会員からも「まだまだ計画について知らない人も多いので、もっと情報発信していくべきだ」との意見が寄せられました。
また小金井市の環境政策課からも最近の取り組みが簡単に紹介され、公園整備の基本方針の策定、環境市民会議や環境楽習館の活性化、現行の第二次環境基本計画(~2020年)の検証や次の第三次環境基本計画(2021年~)の策定などの課題が共有されました。

今後はこの環境市民会議を通じて、行政の関係者も含め、より多くの人たちと道路計画に関する情報を共有し、様々な意見を交換していきたいと思います。

(報告・松山)

2018年5月2日水曜日

小金井市選出の都議、つじの栄作氏の都市計画道路についての見解です。

はけ文では先日の都市計画道路3・4・11号線の説明会の後、小金井市選挙区選出の東京都議会議員、つじの栄作氏に、質問状を出しました(4月1日)。
つじの氏は「お預かりした質問に真摯にお応えするためには指定の締め切りでは時間がありません。」と言われ、1ヶ月後を締め切りにしてほしいと言われ、4月末日に回答をいただくことができました。
以下、はけ文からの質問とその回答ですので、お読みください。


【はけ文からの質問1】
都市計画道路「小金井3・4・11号線」の整備を進めようとする東京都に対し、市議会を含めた市民側の理解が得られていない現在の状況は「都民ファースト」とはほど遠い状態と言わざるを得ません。現状をふまえ、都議のご見解をお伺いします。

【つじの氏の回答1】 
総体的に言えば、私の東京都議会議員である今の立場は小金井市の皆様の安全や幸福や利益の追求のみならず、東京都全体の利益をはかるよう考え、行動しなくてはならないものです。今回の道路に関しても賛成する意見も多数いただいています。この辺りが、ご指摘の市議会議員の皆様と立場や発想が異なるところだと思います。

また、都民ファーストの会は先の都議選で公約の一つに「多摩格差の解消」を掲げ、結果私は小金井市民の皆様に付託されることになりましたが、区部と比較して多摩地区の都市計画道路の進捗状況は遅れている現状があります。小金井市をはじめ多摩地区の道路ネットワークの完成を通じて多摩地区が区部と遜色ない安全で豊かな生活を目指すことは「都民ファースト」に偽りはないと確信しています。

同様に公約として私は精神科医でもあり、皆様の意見を良く拝聴して、それを都議会に届けると約束しました。約束どおり皆様の御意見はよく伺い、都議会に届けます。
まだ、確約はできませんが、今後私は第2回定例会、あるいは第3回定例会にて一般質問する機会があると思いますが、都市計画道路に関して地元の方のご意見として、多様なものがあると当局に質疑したいと考えています。

はけの自然と文化を守る会の皆様はじめご指摘のある野川の自然環境などに関しては最大限の配慮が必要なのは言うまでもありません。
皆様の御意見を尊重し、今後も引き続き皆様と当局との話し合いが秩序あり、論理的で建設的なものであることを期待します。

【はけ文からの質問2】
2016年7月に行なわれた都知事選で小池百合子氏は、当会が実施した公開アンケートで、「知事に就任させていただきましたら、実際に巡視し、小金井市、小金井市議会、地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置づけることが不適切だと判断される場合には、必要に応じ、見直しを進めていきたい」と回答しましたが、果たされていません。都議のご見解をお伺いします。

【つじの氏の回答2】
私が都議会議員として選出される以前の市民の皆様と小池都知事のやりとりについてはコメントは差し控えます。

【はけ文からの質問3】
小金井選出の都議として、市民のために何ができると思われますか。

つじの氏の回答3】
小金井市選出の都議会議員として私は小金井市民の皆様の市民生活を送る上での質の向上、安全で豊かな生活を目指すところに全力を尽くします。同時に東京都議会議員の立場から東京都全体の利益、日本の国益なども最大限考慮しながら思考・行動しなくてはなりません。全ての市民の方々のご意見をそのまま実行に移すことは困難ですが、今後5年後、10年後、20年後、次世代に渡って結果的に小金井市が東京都と共に発展し輝けるよう長期的な俯瞰的な視野を持って都政に精力的に取り組み、皆様のご期待に応えるべく努力を継続します。

【はけ文からの質問4】
都は来年度以降も、“意見交換会”を実施する、としています。
傍聴する意志があるかどうか、お聞かせください。

つじの氏の回答4】
小金井市の皆様のご意見や主張を拝聴するのは公約ですので、意見交換会は積極的に出席させていただきたいと考えています。
ただし、同日同時刻公務その他優先的な配慮が必要なイベントなどあれば、意見交換会にはやむ無く欠席させていただく場合もあります。その際も皆様や当局等より逐一意見交換会の様子の説明を受け、皆様の御意見、お考えは常に知っている状況を維持していきます。」

2018年4月2日月曜日

「費用対効果の試算なし」に住民あぜん 小金井都道計画説明会レポート

3月25日(日)、3月26日(月)の2日間、はけと野川を分断する都道3・4・11号線の整備に向けた説明会が小金井市立南小学校体育館にて開催されました。
25日は午後2時からということで、体育館いっぱいの市民が集まり、東京都の概算発表では200名、26日は平日の夜7時からだったので約100名の参加がありました。
(正確な参加人数は4月中頃に東京都のHPに発表されます)

市民でいっぱいの体育館。紅白幕があるのは卒業式と
入学式の間の時期に体育館を借用したから。


説明会の様子を、はけ文会員でジャーナリストの斉藤円華さんに報告していただきました。ぜひお読みください。

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小金井都道計画(3・4・11号線)にかんする東京都建設局主催の住民説明会が3月25日(日)、26日(月)に市内の東小学校で行なわれた。都は都道建設の目的として渋滞解消や防災などを強調し、工事にともなう環境配慮も説明。しかし参加した住民とのやり取りの中で、それらの主張がきわめて根拠に乏しいことがわかった。


■計画の無根拠さが次々明るみに

説明会で都は3411号線を整備する必要性として、これまでと同じく●広域道路網の整備●周辺道路の渋滞緩和●クルマの抜け道の交通量抑制による良好な居住環境●防災対策、を挙げた。

これに住民からは、「ネットワーク(広域道路網)の整備ありきで、何のためにという住民の視点が抜け落ちている」「交通量調査では交通量が減っている箇所もある」「マイカー保有台数は減少傾向。都道が出来るのはだいぶ先であり、その頃には交通量が減る可能性もある」「50年以上前の道路計画。防災対策は後付けの理由だ」「必要性の論理をしっかり示して」などと反論が相次ぐ。

ところが都は、こうした意見を説得できるような説明をせず、「将来的には交通量は減るのは事実だろうが、都の持続的発展のためにこの道路は必要と考えている」(都建設局課長)などと言うばかり。そもそも交通量が今後減るならば、巨額の税金を投じ、住民に大きな負担を強いてまで今回の都道を作る必要があるのか。

また、「今回の都道計画にはいくら建設費用が掛かるのか。概算でもいいから示して」との住民意見にも、都は「費用は持ち合わせていない」。そもそも論は徹底して回避しつつ、「住民の理解を求めたい」と言いながら都道計画をごり押しする都の姿勢がこの場でも際立った。

都道説明会に臨む東京都建設局の出席者。


ちなみに都は3411号線ができれば、いずれも広域避難場所である小金井公園と武蔵野公園が結ばれることで「地域の防災機能が上がる」という。しかし、それを裏付ける根拠はやはり都から示されない。「後付けの理由だ」と言われても仕方がないだろう。「環境配慮」も、都環境局などとの協議を経ていないことが21日の回答説明会でわかっている。

住民と都のやり取りの山場は2日目に訪れた。住民の1人が「都として今回の都道計画の必要性を検証したのならば、費用対効果の試算を示してほしい」と迫ると、何と都はこれについても「持ち合わせていない」と回答。会場は騒然とし、質問者も「この計画は数字も何もなく決めたのか。都は私たちに『理解して下さい』と繰り返すが、数字も何もなければ理解しようがない」と呆れたように話した。


■強引な進行にヤジ轟々

こんかいの説明会で目立ったのが、都の強引な進行だ。概要説明はスライドと録音した音声で行ない、住民から「そんなのおかしい」「納得できません」などと異論が出ても止めない。また、質疑応答は1時間だったが、発言を求めて多くの住民が挙手していたのに、司会は「残り3人で打ち切ります」。会場撤収などの事情はあったにせよ、時間が短かすぎたと言わざるを得ない。

さらに、都の説明に納得できない住民のヤジには「静かにしてください」と繰り返すのみ。すでにふれたように、都の説明は「決定ありき」で、その根拠が住民に十分示されていたとはとても言い難い。そのため、住民の不規則発言が相次いだのはやむを得ないことといえた。それを無理やりねじ伏せて議事が進む様子は、今回の都道計画のずさんさを際立たせているように見えた。


都建設局の事業化調整専門課長(左)と工事第一課長(右)。
このほか課長代理も随時発言した。



■その時市長と都議は? 問われる小池都知事の「公約」

パブコメで2000通以上の意見が寄せられ、市議会では「計画見直しを含めた話し合いの場を求める」とする意見書が全会一致で採択されている(※)、小金井都道計画。環境や住民への影響など、市民の関心は非常に高い。市民の代表である小金井市長、小金井市選出の都議会議員は説明会に足を運んだのか。電話で確認してみた。

市長は会期中の市議会への対応のため、との理由で2日間とも欠席。都議は「都建設局から報告は聞いている。(私とは)面識もなく、都道計画は微妙な問題のため出席したかどうかは会って話したい」と話し、出欠を明らかにしなかった。

公人である都議が、公の行事への参加について「面識がない」などとして事実確認を避けるのは、一体どうしたことか。私の周囲で、会場で都議を見かけた人はいなかった。やはり電話で都議に問い合わせた人によれば「参加していなかった」という。

首長や議員が現場に足を運ばず、行政担当者の報告のみを聞くとすれば、行政のフィルターで選別された、あるいはバイアスのかかった情報しか耳に届かない懸念がある。

いずれにせよ、住民の関心が高い都道計画をめぐり、住民の代表である首長や議員がどう振る舞っているのかを、随時チェックする必要がある。都道計画に限らず、地域が抱える問題の解決に向けてどんな仕事をしているかは、次の選挙でだれに投票するのかを決める重要な判断材料となるからだ。

ところで選挙と言えば、思い浮かぶのが小池都知事だ。小池氏は、都知事選での住民アンケートに次のように答えていた。

「とりわけ地元から強い疑義が提起されている路線を実際に巡視し、地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置付けることが不適切だと判断される路線に関しては、大胆に見直しを進めていきたい」

この公約はいまだ果たされていない。小池氏は「実際に巡視」せず、都建設局は「地域住民の皆様とも対話」せずに「理解して下さい」と繰り返すばかりだ。説明会で、小池氏のアンケートについて質した参加者は、続けて次のように訴えていた。

「アンケートの回答を見て、都道計画について真摯に考えていると思い小池氏に投票した。それが都の検討だけで方針を変えて計画を進めるのであれば、今後は都知事の発信する内容をすべて疑ってかからなければならない。(現状では)ただ票を集めるために選挙では調子のいいことを言っていた、と思われても仕方ない」。言いっぱなしは許されない。

(※)2017年9月と12月。また、都道説明会終了後の2018年3月28日にも3回目の意見書が採択された。いずれも全会一致。

               
                斉藤円華(市内在住・ジャーナリスト。はけ文会員)