2019年7月25日木曜日

東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針(案)


東京都は未整備の都市計画道路について検証結果を公表し、パブリックコメントの募集を開始しました。


膨大に存在する東京都の都市計画道路を対象としたこの方針案を読み込むのは容易ではありません。対象とされる身近な路線を確認しようとしても、地図には現道の記載がないため、現状がどうなっているのかまったく分かりません。

↓↓↓一例:検証対象を示した地図(小金井市)
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/tokyo/pdf/draft_60.pdf


今回、はけ文では独自に、検討対象となった路線を示す地図を作成しました。小金井市域のみなので全体のほんの一部になりますが、近隣の方はぜひご覧になってください。
国分寺崖線を分断する2本の都市計画道路(小金井3・4・1号線及び小金井3・4・11号線外)は、優先整備路線に選ばれているため、対象になっていません。





〈都による「計画の見直し」の実態〉

国土交通省は各地方自治体に対し、未整備の都市計画道路の見直しを指示しています。それを受けて東京都は、「社会経済情勢の変化や道路に対する都民ニーズを踏まえ、都市計画道路の不断の見直しを行っていきます」と、第5章「今後の進め方」で力強く宣言していますが、その実態が問題です。

今回東京都が「検証した」とする4つの項目は、地域性を考慮せず、道路の機能性に機械的に照らし合わせただけのものです。その結果、ほとんどの路線が「計画の見直し対象にならない」という結論とされています。地域住民の目から見れば代替となる道路が存在していたとしても、まったく考慮されていません。

〈優先整備路線は対象外〉

未着手でもすでに優先整備に選ばれている路線は対象外とされ、その根拠は示されていません。都立武蔵野公園を分断する「小金井3411号線(外)」は「都市計画公園等との重複」の項目に当てはまりますが、第4次事業化計画に選定されているため、見直しの対象になりません。

方針案の検討体制の説明も極めて不十分です。パブリックコメントの周知にも熱心とは到底言えません。ほとんどの市民が知らないところで、知らないうちに「検証した」「住民の意見を聞いた」という既成事実が積み上げられ、実行に移されるのです。





〈パブコメを送ろう!〉

今後について都は、「皆様からの御意見を踏まえ、『東京における都市計画道路の在り方に関する基本方針』を、本年中を目途に策定していきます」としています。

これまで都が真摯に「皆様からの御意見をふまえ」たのかはなはだ疑問であり、残念ながらこれまでの実績から今回も形ばかりの意見募集となる恐れが濃厚です。

しかし、市民の意見が公的な記録に残る大切な機会です。少しでも「おかしい」と思う方は、ぜひ意見を書いて都へ送ってください。

「パブコメが周知されていない」「地図が不親切すぎる」「当該住民に知らせるべき」「検証の仕方が機械的過ぎる」など、簡単な表現で十分です。
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基本方針(案)に対する御意見・御提案の提出方法
 基本方針(案)に関する御意見・御提案を募集いたします。主な御意見について、ホームページなどで公表することがあります。様式は自由です。可能な限り、お住まいについてお知らせください。

<募集期間> 
令和元年812日(月)まで
<提  出  先>
1.      窓口・郵送 〒163-8001 東京都庁 東京都都市整備局都市基盤部街路計画課
2.      FAX   03-5388-1354
3.      メール   S0000179@section.metro.tokyo.jp



〈あなたのそばにもきっとある〉

東京都にお住まいの方は、ぜひご自宅のある地域の地図をチェックしてみてください。この地図だけでは分からないので、都市整備局の都市計画図も合わせてご確認ください。

↓↓↓各検証項目の検証結果の位置及び一覧表


↓↓↓東京都都市整備局 都市計画情報 ポータルサイト

※サービス利用条件に同意すると、詳細な都市計画図を閲覧することが出来ます。

「え!ここも計画線が引かれているの?」と驚くほどに縦横無尽に都市計画線が張り巡らされ、そのほとんどすべてが時期はともかく実行にうつされようとしています。そしてほとんどの人がその事実を知りません。


将来は交通量の減少が予測されるばかりではなく、人口減少により既存のインフラの維持・管理すらもむずかしくなることが懸念されます。新規の道路をあくまでも「必要」と位置づける東京都の姿勢こそ見直すべきではないでしょうか。市民が感じる普通の感覚を、パブコメを通じて東京都に伝えましょう。