2023年5月7日日曜日

シンポジウム「小平の玉川上水が危ない」に参加してきました。

2023年5月7日(日)大型連休最終日、小平中央公民館にて開催されたシンポジウム「小平の玉川上水が危ない」にはけ文メンバー安田、佐藤、横須賀で参加してきました。



国分寺から所沢に抜ける都市計画道路(小平328号線)は、小金井の道路問題同様にはるか昔1962年に都市計画決定された道路です。それが小金井よりも先行して1989年に有線整備路線に選定され、すでに7割用地買収が済んでいると言われています。そしてこの4月、史跡である玉川上水を道路建設のための調査に入るという連絡が東京都からきたそうで、玉川上水が36メートルの道路で分断されることの意味をあらためて考えるシンポジウムの開催になったということでした。

道路問題について丁寧に市議の水口かずえさんが解説。道路建設について問う住民投票を必死の署名活動でなんとか実施にこぎつけたが成立要件の投票率50%に達しなかったために開票してもらえず、裁判も起こして最高裁まで戦ったこと。最高裁で敗訴した翌日に小平市に問い合わせると「もう投票用紙は焼きました」と言われたと。今聞いても泣けてきます。小平の人達は本当に悔しかったと思いますが、まったく聞き入れてもらえないという意味では私たちにもまったく人事ではなく小金井のはけと野川を分断する道路も同じ道を辿るのです。




そして高槻成紀先生は動植物の生態学の観点から、道路建設がいかに小平の自然環境に影響するかを具体的な調査結果の数字やグラフを提示しながらご説明くださいました。これには小金井市の玉川上水の木々が皆伐されたことが、結果としてとてもわかりやすい研究データを示しました。皆伐したら明らかに鳥類が減り、エナガなどの樹林型の野鳥は極端に数を減らし、都市型に見られる野鳥ばかりになってしまったのです。生物多様性が野鳥や昆虫などにも大きな影響を与えることがわかりました。
「人か自然か」ということをいつまで続けるのか、生き物たちの命を奪うことをやめて、美しい玉川上水を未来に引き続く責任があると高槻先生は訴えました。


そしてゲストとして、これまでもこの道路問題や玉川上水の保全や調査に関わって来られた関野吉晴さんと國分功一郎さんも登壇、関野さんは「肥大した欲望が地球を破壊している。『ほどほどに』というのがとても大切になっている」と話され、國分さんは10年前の住民投票の活動に参加された時のことをお話しされ、それまでは議会の大切さを説いてきたが、いかに行政が決めているか、そして我々市民の意見を聞いてもらったり参加したりするタイミングが本当にないということを実感したと当時のことを思い出すと悔しさが蘇ってくるとおっしゃっていました。





玉川上水部分を地下化できないかなど、今度も小平市、東京都に働きかけていってはどうかなど、諦めずに活動していくそうで、夏にもまたシンポジウムを開催予定とのことでした。

小金井のはけ文や他の団体と話していると「どうやって道路建設を阻止できるだろうか」という方法論の話になることが多いですが(小平でももちろんそれをたくさん考えて来られたと思いますが)小平の方達は民主主義という観点から哲学的に考えておられて、道路問題を通して私たちがこの地に生きていくことの意味をあらためて考えさせられました。
                                   (横須賀・記)