2016年8月11日木曜日

【東京都知事選挙 候補者への公開アンケート 総括】

都知事選に伴い、候補者10名に公開質問状を送らせていただきました。
大変お忙しい中ご回答くださった候補者のみなさんへ、深く感謝いたします。
ありがとうございました。

はけ文として公開質問状を出すことは初めてで、手探りの取り組みでした。
公表の仕方やルールなどつめきれていなかったことや、回答に気づかないミスなど、
今後に生かすべき反省点が多々ありました。

ご回答いただけたのは4名でしたが、それぞれ都市計画道路への理解度や、
取り組む姿勢が読み取れるご回答をいただけたことは収穫だったと思います。

投票の結果は、小池百合子氏が当選しました。
下記に小池氏の回答を質問とともに再掲します。

都市計画道路に関する質問と回答
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質問1.東京都の道路事業のあり方に関する質問

 全国各地で社会情勢の変化に伴い、都市計画道路の廃止・見直しが進んでいます。都市計画道路の多くは今から50年以上前、1960年前後に決定されたものです。当時とは社会情勢が大きく異なる現代において、東京都は「首都としての交通ネットワークの重要性」を理由に、ほとんどの路線を見直すことなく、着々と事業化を進めています。
 東京都では道路整備をめぐり、住民による異議申立や裁判が多数おこされていますが、都は大きな問題と捉えることなく、道路計画に住民の意見が反映される仕組み作りに着手する気配もありません。
 待機児童問題や少子高齢化対策など喫緊の課題が多くある中、地域住民の合意形成の機会もないままに新たな道路の整備に膨大な予算を費やすことに、都民の理解が得られていると言えるでしょうか。
 東京都の道路事業のあり方全般、また、都民との合意形成について、お考えをお聞かせ下さい。

小池氏の回答

アンケートのご送付ありがとうございました。
このたびの都知事選において、私は、「都民が決める。都民と進める。」との基本姿勢をお示しいたしました。このことは私の信念でもあり、東京都の道路行政においても徹底してまいりたいと考えております。
道路は、自動車交通、歩行者・自転車の交通、防災、都市景観の形成などの観点で、非常に重要な役割を担っております。したがって、歩道もない主要道路の拡幅による歩道設置、自転車専用レーンの増設、大震災の際に電柱が倒壊する危険性がある道路からの電柱の除去、大震災の際に倒壊の危険性がある老朽建造物の建て替え、四季の移ろいを感じられる個性のある街路緑化等は計画的に進めていく必要があります。
一方、「人口減少社会=自動車減少社会」の到来を見据えて、道路の新設に関しては、将来需要、費用対効果、地域住民の合意、地元区市町村や区市町村議会の意向、自然環境への影響などを多角的に分析して着手するかしないかを判断していく必要があると考えております。
このたび東京都は優先的に整備すべき路線を決定するに至りました。妥当な内容も多々含まれておりますが、地域住民の合意、地元区市町村や区市町村議会の意向、自然環境への影響という観点で、優先整備路線に位置づけることが適当かどうか、見直しが必要な路線もあると考えております。
知事に就任させていただきましたら、とりわけ地元から強い疑義が提起されている路線を実際に巡視し、地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置付けることが不適切だと判断される路線に関しては、大胆に見直しを進めていきたいと考えております。
前知事が決めたからといって、そのまま踏襲するというような硬直的な考えは一切持っておりません。
なお、大昔に決めた都市計画については、大胆に見直しを図っている例もあり、先進事例を参考に東京都の道路行政にどのように反映できるのか検討を進めたいと考えております。


質問2.国分寺崖線を分断する都市計画道路「都-110」及び「都-111」に関する質問

 地域住民が親しみをもって「はけ」と呼ぶ国分寺崖線は、野川と一体となった緑地帯に多様な生物が生息する、都市近郊に残された貴重な自然遺産です。都は「国分寺崖線景観基本軸」を定め景観を保護していますが、高度成長期に急激な都市化により失われた緑を回復するまでには至っていません。国分寺崖線は都民が身近に感じることができる自然として、近年その重要さを増しています.都市計画道路「都-110」「都-111」は2路線ともに、この国分寺崖線を貫く計画です。
 道路計画地である都立武蔵野公園付近は、大きく分断されることなく約3kmに渡って崖線の緑が残されている奇跡とも入れるエリアです。その中には、都建設局が平成18年から自然再生事業として“水のある豊かな自然環境”を再生することを理念にかかげ、市民と行政が協同して保全に取り組んできた地域も含まれています。道路事業との整合性について、都は「自然再生事業は道路整備を妨げるものではない」としています。
 ヒートアイランド現象が深刻化する中、「水と緑のネットワーク実現プロジェクト」など、東京都は緑化を推進する様々な事業を行っています。しかし道路事業に自然環境保護の理念が生かされることはなく、私たちに残された身近な緑は失われる一方です。まことに残念ながら、東京都の緑を守る施策は、後退していると言わざるを得ません。
 都市計画道路事業と自然保護のあり方について、お考えをお聞かせください。


小池氏の回答

このたび東京都が優先整備路線に決定した小金井市内の2路線に関しては、以下のような課題の指摘があると聞いております。優先整備路線の決定にあたっての意見書の提出件数も群を抜いており、知事に就任させていただきましたら、実際に巡視し、小金井市、小金井市議会、地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置付けることが不適切だと判断される場合には、必要に応じ、見直しを進めていきたいと考えております。 

1.小金井市民の皆様、行政、市議会が、長年月、「小金井の宝」として一丸となって保全してきた貴重な緑(はけ)や野川の水辺を広い幅員の道路で分断する内容であり、自然環境の保全の観点、生態系の保全の観点で、慎重な対応が求められる。
2.これまで、貴重な緑(はけ)や野川の水辺の保全には東京都も主体的にかかわっており、今回の優先整備路線決定は、これまでの都の方針とも矛盾する要素が多い。都市の貴重な緑はいったん失われれば回復は至難の業であり、慎重な対応が求められる。
3.小金井市議会では、保守系から革新系まで与野党の大方の議員が、優先整備路線決定に疑問を提起しており、地元議会の理解がないまま事業を強行することは不適切である。
4.小金井市、小金井市議会、小金井市民の皆様からの積極的な要望に基づいて優先整備路線に選定された経過はなく、選定にいたる過程の都民参加も不十分であるとの印象をぬぐえない。数多く提出された意見書についても、都庁内において真摯に対応が検討されたとは思えない。
5.すでに小金井市内には、その狭い市域の中に小金井街道、新小金井街道が南北を結んでおり、JR中央線の高架化事業の完成で踏切渋滞も解消されている。第三の南北路線にどの程度の需要があるか疑問である。また、第三の南北路線は、五日市街道以北に計画がなく、都が担うべき「広域的な道路行政」の要素が比較的少ないと思われる。
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以上

小金井の2路線に限らず、住民無視で進められてきた都の道路行政を、
今後「都民が決める・都民と進める」都政に、どうシフトしていくのか。
しっかりと注視していきたいと思います。

来年には、都議会議員選挙があり、小金井市では市議会議員選挙が控えています。
都市計画道路の問題点を知らせること、候補者の姿勢を市民のみなさんへ知らせることを目的に、
公開質問状の取り組みを続けていきます。今後ともぜひご注目ください。


【経緯】

7/15付で、住所が判明した8名とメールアドレスを公開していた2名、合わせて10名の候補者に、
郵送またはメールで公開質問状を送付。

7/22の〆切日までに回答をいただいたのは、増田ひろや氏、鳥越俊太郎氏の2名。

7/24 当会のブログとFacebookで、増田氏と鳥越氏の回答を公表。

7/25 同日に届いた小池百合子氏の回答を公表。

7/31 7/26付で届いた七海ひろこ氏の回答を公表。

7/31 投開票。新都知事に小池百合子氏が選出される。


【回答(届け出順・敬称略)】
質問状の送付方法:(M)=メール (郵)=郵便

高橋しょうご(M)回答なし

谷山ゆうじろう(M)回答なし

桜井誠(郵)回答なし

鳥越俊太郎(郵)回答あり7/22

増田ひろや(郵)回答あり7/21

マック赤坂(郵)回答なし

小池ゆりこ(郵)回答あり 7/25

上杉隆(郵)回答なし

七海ひろこ(郵)回答あり 7/26

中川ちょうぞう(郵)回答なし ※7/29 回答を送れなかったことを謝罪するメールをいただきました