2017年11月14日火曜日

自主講座「市民が動かす!グリーンインフラまちづくり」

11月12日(日)10時〜12時、貫井北町公民館学習室ABを会場に市民が作る自主講座「水がめぐり、生きものがつながるまちづくり」の第一回「市民が動かす!グリーンインフラまちづくり」を、東京農業大学地域環境科学部造園科学科准教授の福岡孝則さんを講師に迎え開催しました。
以下、講演要旨です。


グリーンインフラとは、自然の機能を活かしたインフラ整備のこと。
福岡先生が関わってこられた世界各地の都市デザインやランドスケープのプロジェクトの事例を紹介。近年の都市部への回帰の高まりを受け、都市の生活を再整備する必要が出てきている。都市での生活は専有面積が少ないため、公共空間の居心地のよさが暮らしの質にとって大切である。道路や広場などを居心地よく変える社会実験の例を紹介。道路にカフェをつくる、期間限定の遊び場をつくるなど。自宅の庭を開放して街中を回遊できるようにするなど。「外に向けた都市戦略としてのリバブルシティ(住みやすいまち)」から、「住んでいる人が住みやすいと感じるリバブルシティへ」。

プロジェクターを使ってわかりやすく話される福岡孝則先生。

世界中で都市型洪水など頻発している。アメリカではグレーインフラの更新時期になっている。行政のインフラだけでなく、市民それぞれの取り組みが推奨される。雨水税の導入。不透水の部分に課税される(デトロイト)。雨水を一気に下水に流れさせず、一時貯留させてから流すことで洪水を減らす。生活の中で市民も、増水など自然の変化を身近に感じられることが大切。

緑が増えることでの便益を考えたい。研究では、緑が増えると犯罪率が下がる、歩いたり走ったりする機会がふえて健康的になる。心臓病が減るというデータもある。環境的、経済的、社会的様々な便益があると思う。

シンガポールのビシャン川の例。三面張りで柵のある川のコンクリートをはがし、氾濫源を内包する川へと戻し、水に入って遊べるようにした。川に飛び石を配したところ、当初行政からは安全面から大反対されたが認められた。日常時は親水性が高く、非常時は洪水をいなす仕組みを取り入れた公園。大雨などで水位が上がると警報が発するシステム。都市の中で子どもから大人まで、水と緑に親しめる場所に生まれかわった。

シンガポールのビシャン川について写真で説明。

町田市の境川の流域、鶴間公園の例鶴間公園と境川、新しく出来るショッピングモールが一体となった公民連携の再整備計画。樹木が適正に管理されていなかった森の生態系を調査し、評価した。
建設後時間が経った運動公園の質を高めるために再整備計画が進んでいる。開園から40年が経ちうっそうとした樹林の適切な将来像を議論し、適度に光の入る魅力的でありつつ、生態的にも配慮している。公園の潜在的にもつ力や自然の力を活かし、多世代の市民が多様な使い方をできるような公園の姿を目指している。


鶴間公園では、市民に参加を募り、「森のがっこう」というプロジェクトが行なわれた。「学びチーム」「工作チーム」「食チーム」など興味ある分野で班をつくり、6月~11月まで5ヶ月間にわたって市民と行政、民間企業が連携して取り組んだ。ピザを焼いたり、伐採したクスノキでベンチ作り、公園の照度の適正を探るワークショップなども開催。中学生から80代までの幅広い年令の市民が参加し、自らの手で公園を育てることを模索している。


詳しくはこちらをご覧ください。
南町田拠点創出まちづくりプロジェクト


ランドスケープが専門の福岡先生から見ると、建築家は造園や緑のことを知らなすぎ、緑が好きな人は建築を知らなすぎる。分野を超えてお互いを知ることが、これから大切になる。

例え公園にたくさんの人が訪れ、賑わいがあったとしても、そこにコミュニケーションが起きていない。たくさんの人が来れば公園の設備は消耗するが、行政だけで担うのは負担が大きい。公園をただ使うだけでなく、育てていく環境の中で、これからの市民は育つのではないか。

住んでいるところからまちを良くするために、緑や水をとっかかりにして、耕すように関わることには、とても大きな可能性がある。

参加者からも熱心な質問がありました。

先生のお話はとてもわかりやすく、市民が公園や都市の緑についてもっと積極的に関わったり考えたりしていく必要性や楽しみを教えていただいように思います。
世界全体の動きとして、車中心の社会から人が中心の街へ変わってきているのだと感じました。小金井市がどんな街を目指すのか、それをちゃんと示すことが小金井を魅力ある都市にすることになるのだと感じました。

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