2018年2月20日火曜日

【市民が作る自主講座】第3回フィールドワーク報告


今年度の自主講座の最後は武蔵野公園のフィールドワークでした。1月21日(日)10〜12
時、講師に野鳥観察家の鈴木浩克さんとキノコに詳しい井口七穂さんを迎え、武蔵野公園
内を散策しました。
はけ文メンバーの安永千秋さんの感想文です。ぜひお読みください。



穏やかな武蔵野公園を散策
その日はあの、都内に大雪が降った前日の日曜日だった。武蔵野公園の上に広がる空は
穏やかに晴れていた。集合場所に着くと、もう子供を含めて沢山の人達が集まっていた。
野鳥観察家の鈴木浩克さんの話を聞くのは2回目。一度目は屋内での講演会だったが、今
回は武蔵野公園で実際に鳥を見ながらという事で、とても楽しみだった。

スタート地点で今日の概略を説明する鈴木浩克さん。
右となりは井口七穂さん。

私は自分の家の庭に来る鳥や、散歩の途中で見かける鳥を眺める位で、バードウォッチン
グらしい事はしたことがない。集まった皆さんが双眼鏡やカメラを提げているのを見て、
しまったと思ったが、鈴木さんが用意してくださった望遠鏡のおかげで、ちゃんと野鳥を
見ることができた。

  
同じサギかと思ったら
武蔵野公園を野川に沿って歩き始めて、すぐスズメやカルガモ、ツグミ、ジョウビタキ等
が見られた。田んぼを挟んではけの斜面に生えている木に、アオサギ、ダイサギ、コサギ
が止まっていた。サギ達はこのあたりでよく見るが、3羽そろっているのは初めて見た。
トビやオオタカなどの猛禽類もいるそうだが、こんな大型の鳥が生息するには、食料の魚
や小動物も相当数必要だろう。

はけの斜面にアオサギ、ダイサギ、コサギが並んでいた。
親子とかに見えたが違う種類のサギだった。
遠くのサギを観察。そして田んぼにくる鳥たちも。
子どもたちは日頃親しんでいる公園で遊びながら観察。

野鳥にとっての最良の環境とは
カラスについては、ハシブトガラスとハシボソガラスの鳴き声の違いを教えていただい
た。ハシブトの方が澄んだ声でカア〜、カア〜と鳴く。カラスに限らず小鳥もそうだが、
注意して聞いていると、必ずどこからか返事があって、鳴き交わしているのがわかる。人
間の脳は、関心のない情報をスルーしているらしく、車や電車の音に気が付かないことが
あるが、鳥の声に関心を持って聞いてみると、会話の内容を小耳に挟んだり出来るように
なるだろうか。
 野川を渡って公園の苗圃の側に入ると、コゲラがきれいな丸い穴を空けた木があった。穴
は一本の木に3つばかりもあって、幹には茶色い乾いたキノコがびっしりと付いている。
菌類が内部まで入り込んだ木は弱っていて、鳥にとっては穴が空けやすいのだそうだ。
様々な生物の住処にもなる。その意味で、枯れかかったり弱っている木も、すぐ切って処
分してしまわずに、そのまま置いておく事は大事だそうだ。無駄なものは自然界にはない
ということだろう。

コゲラが開けた穴を観察。気が弱っていてキノコも出ている。

折れた木の枝が木に引っかかっていた。
その先からキノコが出ている。

野鳥、植物の話をしながら公園整備についても
きちんと話してくださる鈴木さん。人のための整
備と野鳥のための整備は違うことがわかった。
武蔵野公園にはキノコがいっぱい
菌類に詳しい井口七穂さんには、いろいろなキノコを見せていただいた。木の下の地面に
生えていた、カップ型の黒いキノコは、教えてもらわなくては自分では絶対に気が付かな
かっただろう。木の幹に付く小さなキノコや、粘菌も。これから寒さが緩んで春になれ
ば、またもっと多様な生物が見られるのだろう。これは、せっせと見に行かないと勿体な
いな、と感じた。ただし、踏み荒らさないように気を付けて。




図解でとてもわかりやすくきのこについて説明して
くださる井口さん。






「この辺にあるはず」と私たちには全く見えないが
井口さんが落ち葉をよけるとキノコが出現。



コップのかたちをしたキノコ。


野鳥の話を通して感じた公園の重要性
鈴木さんの話で特に印象に残ったのは、カワセミの話だった。近年、武蔵野公園沿いの野
川でも見られるカワセミだが、元々は自然豊かな清流に住むイメージが強い。が、護岸工
事等で川の土手がコンクリートで固められてしまった所で、その間の排水口などに巣を作
ってみる「パイオニア」がたまにいて、それがさきがけとなって、生息域が広がり、種が
生き伸びるような事が起きているそうだ。野鳥も変化に適応しているのだ。個体差もある
し、コミュニケーションも取り合い、子を育てて生きている。
そうした生物の生きて行く場所を、自分たちの都合でひたすら破壊して来たのが人間なん
だなあ〜と思う。この調子で破壊や温暖化が進むと、本当に地球は保たないな。という事
に、みんな気づいてないはずはないのに。人間も生きていかなくてはならないが、もう少
し賢くなって対処しないと、先は長くないかもしれない。とりあえず私達に出来る事は何
だろうか?まずは、身近な環境と問題について、もっとよく知ることではないか。そし
て、他の人にもこの場所の大切さをもっと知ってもらいたいと思う。



貴重な経験を得られて、とても良い機会でした。鈴木さん、井口さん、はけ文の皆さん、
ありがとうございました。
                           (はけ文会員・安永千秋)



この日の参加者は大人27人(講師2・スタッフ3含む)、子ども5人、賑やかな観察会になりました。「野川自然の会」会員で野鳥に大変お詳しい丹羽康勝さんも双眼鏡を貸して下さったり、当日も終始サポートしてくださいました。ありがとうございました。


当日は野鳥、キノコの写真が撮れなかったので、別日に鈴木さんと井口さんが撮った
写真でご紹介します。
観察できた野鳥
スズメ、モズ(声)、カルガモ、ツグミ、ジョウビタキ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、カシラダカ、アオジ、カワウ、シメ(声)、ムクドリ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ヤマガラ、コゲラ、カワラヒワ、トビ。


マヒワ。

カワセミ。

コサギ。

モズ。

ツグミ。

エナガ、巣立ち雛。

エナガ巣作り。



ハタケチャダイゴケ(ハラタケ科チャダイゴケ属)。

マヤラン。

ベニタケ科のキノコ。

ザラエノハラタケ近縁種(ハラタケ科)。







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